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2012_01
29
(Sun)17:47

甘い御題二十・コンプリートです(_ _)

 さて先般、blog上ではお終い、と20.を打ったワタクシですが、さきほどようやく、ウェッブのページの方も更新いたしまして、完成いたしました。

 前にも書きましたように、ヤマパに向け、「響鬼を語ろう」77maru77さんと、共同本を進めておりますが、その「読者特典」もございます。【おまけ】として、“21番目の御題”による競作もご用意する予定です(しかし、書けるのか>私)。

 とりあえず、よろしければ、こちらでもご覧ください。
 まだリンクミスとか文字ミスとか少々あったらごめんなさいですが、「あとがき」も書きました(<めずらし)。
 ご感想などいただけましたら、嬉しいです。

 いやご感想はね、これのじゃなくてもいいですよ。DC版の四方山語りのメールでも、大歓迎! 拍手コメントの短い一言も大歓迎! でございます。いやもちろん、「こっそり読むだけ」でも十分ですとも。あと、「こういうのは【こういうところが嫌い】」という意見も常に求めているのですが、、、(^_^;)ま、だいたい嫌いな話なぞ読みにいく物好きはいませんよねー。
 最初から抵抗のおありの方は、いつものようにお近づきになりませんよう、お願い申し上げます。

 それでは。

 古代進のイメージから「少し甘い二十之御題」新月版2011

 ではでは。
2012_01
28
(Sat)23:59

復活篇CD版、発進!?(ですよね?)

 こんにちは。
 合宿の様子を伝えてくるFBを眺めて「いいなぁ(;_;)」と思いながら、昨日は演奏会三つのはしご(正確には二つだったのだが、入ったレストランで面白そうな生演奏をやっていて、つい聴いてしまった阿呆な二人連れ)、夜に新宿へ回ろうよと言ったら、さすがに連れが「それは明日(=本日のこと)も演奏会なので身がもたん」といわれて、28日は諦めたワタクシです。

 期間中、どっかで行こうと思ってんですけどねー。

 土曜日朝(1/28)は、早朝から速報をいただいており、書こうかと思ったんですが、某77さんちでちゃんとご報告いただいていたようなので一安心。こっちは頭の中、バッハとハイドンでぐるぐるしておりましたし。仕事でちょっとした阿呆なアーティスト(若者)を見て、怒ったのもあり、やっぱり頭のなかぐるぐる、、、まぁいいんだけどね。これはどっかでしつけられなおさないと、一流にはなれねーな、と早見切りつけそう(爆)。たまにはこんなこともあるさ。

 さて。
 ねー、みなさん。
 「ネタバレ」に気を遣っておられるご様子なんですけど。どこもここも、上映会見た方も、映画行った方も、ご感想書いておられないんですよー。これ、DVD発売まで待つつもりですかぃ?
 新鮮な感想が読みたいですー。
 どう思った、こう思った、って知りたいです。書いてくださいよー、皆さん。
 時間が経つとねぇ、内容が変容するんですよ、これはもう確実です。
 いいじゃない、ネタバレでも。どうせ公式ページにも結論は書かれてんだからさー。

ということで、是非、お願い(_ _)。
 ご感想、拝見したいです>ご覧になった皆さま。
 別に、レポートはいらないから。

 私が書かないのは、単純な「感想」じゃないからです。かなり紆余曲折しておりますからねぇ。読みたい読みたい読みたい。

 では今日は、ちゃんと仕事しよう(_ _;)

                    ・・・
 ところで。
 blogに放りっぱなしの「二十のお題」ですが、19も20も作成できています。ところが、ftpがうまくいかなくて、扉ごとアップできておりません。今日明日でなんとかしますので、少々お待ちください。
 でも、blogの方が携帯対応してて読みやすいのかな? とりあえずは、しばらくはおいておきます。
 ウェッブの方いじらないと、完成しないですよね。。。

ではでは。よい日曜日をお過ごしください。
2012_01
24
(Tue)00:15

甘い二十>No.20-2 【再び巡り合えたから】

= 2 =
 海辺の家は静かにそこに古代を待っていた。
明かりも無い――静かに波が寄せるそこに、ユキの姿が無いことを、今の古代は知っている。
(ユキ……)
何故、移民船団の団長になど。
 いやわかっていた。
 古代ならそうするだろうから、と彼女は言ったと誰かが伝えたが、そう言われなくとも古代にはわかる。俺の代わりではない、ユキがユキであるために――美雪や、俺を守ろうとして彼女は行ったのだ。それが――地球を守ることが、俺たち家族を守ることだと信じたから。
 変わらない、ひと。
 出会った頃から―― 一途に、命を賭け、地球や、愛を踏みにじる者と闘い続けてきた女だ。見事なまでに。
(--ユキ)
だが古代はそれを口に出すことはなく、娘の美雪がどこにいるだろうかと思い、3年ぶりの家の敷居をまたいだ。


 「買い被りです。俺は宇宙を彷徨っていた男ですよ--あの頃とは違います」
真田の公邸に招かれ、夕陽を浴びる軍(タワー)と東京メガロポリスを眼下に眺めていた。こんな折だったが、再会の喜びも、ある。
思えば、真田とはいつも、こうしてしか会うことは少なかったような気もするのだ。
「古代――」
「真田さん――」
旧友、真田志郎が何を言いたかったのか、いまの古代にはわかっている。
だが、それが、何だろう?
 地球は、失われてしまうのか--あの慟哭の日々は、無駄だったというのだろうか。
 古代の脳裏に、様々なヤマトの戦いがよみがえり、そうして斃れていった友や仲間の姿が浮かんだ。
(島――)
弟にも久しぶりに科学局で会ったな。すっかり真田さんの片腕として、貫録も出てきた。聡明なのは兄以上かもしれない。時折、所作があいつにかぶる――再会の言葉もろくにかけてはいなかったが…。


 古代の想いは彷徨う。目の前に、月からの放射を受けて冷たい光を煌々と放つあのほし、アクエリアス・ルナが迫っていた。
微かな気配が近づく。「帰ってたの――」
冷たい声音がその沈黙を破った。
 振り返り、「美雪」と応えた。娘らしくなった姿に感動する間もなく、その娘は固い空気をまとわりつけ、触れるなと父を拒絶していた。
その、父娘(おやこ)の間に雪がいる--。
消息を絶ったといわれ、それもまだ現実感がない。
 「お母さんを救えなかったお父さんなんて――」
娘の口からは拒絶の言葉しか出なかった。そうして真田の呼び出しに、「すまん」と告げて、それでも古代は行くしかない--それが、古代が古代であるから。
おそらくユキも、そう望んだに違いなく……それが2人の間では当たり前のことだった。
失われて初めてより深くそれを知り--だが美雪にそれをわかれというのは酷というものだったろう。


 真田が言う。
 お前にしかできない――お前こそが人類を救える唯一の人間なのだ、と。
それは買い被りというものだと、古代進は思う。
俺は……俺は。
「ユキ……地獄の底までも君を救いにいく」
古代はつぶやく。
それが、古代の真の想い。ただユキがいたから、地球は地球だったのだから。


 その事実を告げられた日、古代はどこかで既視感(デジャ・ヴ)を感じていた。
同じく真田の口から告げられたあの時――小惑星イカルスでのあの時と同じように。
 氷の惑星の中へ、高速艇は入っていく。目の前にせりあがってくる懐かしい姿。
 その口の中へ入っても――姿形こそ違え、足元からしっとりと彼に馴染んだ。

 「真田さん――島?」
「行ってくるといい。これは、お前の艦(ふね)だ」
その後ろで盟友の弟も頷く。
2人の目線に送られて、古代進は一人、中へ歩み行った。
 景色は明らかに変わっていた。金属の色、カーヴ。動力部へ行き、ふと触れたくなる。ゆっくりと見渡せば、そこは生まれ変わり、別のものになったとしても、やはりお前はお前――ヤマトという艦(ふね)だった。
(島……徳川さん。……加藤……山本……齋藤)。
格納庫からエンジンルームに向かう中で、過ぎ去った者たちの姿が映る。まるでそこに居て笑っているように。
《また、行くんだろ》
《おう、付き合ってやるぜ!?》
《待ってた。遅かったじゃないか……》
《よう来たな、古代》
ヤツらの笑顔が、親指を立てて笑いかける姿が、汗を拭きながら駆ける姿が、コスモガンを構えて立つ姿が、見えた気がした。
幻聴? そんなはずはなかった。
だが、そこは確かに“新生”ヤマトだった。

 再び巡り合えたから。

お前に再び――その思いがその手のひらをエンジンに触れさせた。
「こらぁっ!」と若い、元気な声が響き渡り、古代は頭から叱責を受けることになる。
そうしてまた、新しい歴史の一ページが開かれることになった。


 艦橋に足を踏み入れ、沖田のレリーフを眺めた。
(ユキ――)
地獄の底まででも、救いにいく。
だが。
……その前に、まずは地球を救わなくては。

 宇宙の平和なくして、地球の平和は無い。
地球の生存なくしては、俺たちの幸せもまた……ありはしないのだ、と。
(美雪――)
いつかはわかってくれる。
そう信じる――お前も、ユキと。そして俺の娘なのだから。


 真田が乗れる立場ではないのは、わかっていた。
「--お前ならやれるさ。もともと三代目艦長だったのだろ?」
くすりと古代は苦笑いした。
「ですが、失敗しましたよ?」それは自嘲とでもいうものだったかもしれない。
一度、辞表を書き、自ら艦を降りたこともあった--そうして最後は、戦闘班長として、この艦と別れたはずだったのだ。
 その自分が、再び艦長としてヤマトを動かす!? この時期に?
真田には後任の若手がいた――彼が手塩にかけた若者だという。
だがそれだけではない。古代の中に、皆が生きていた。
 操縦桿を握れば、島の息遣いと声が聞こえ――
 エンジンの唸りを聴けば、徳川(彦左衛門)の声が聞こえ――
 コスモパルサーを見れば、加藤や山本の姿がかぶり――
 そうしてそれらは皆、新生ヤマトのクルーたちに受け継がれていくだろう。

 「お前は乗らないのか?」
古代は最後に島次郎に訊ねた。
彼は明るい目を上げると、いいえと首を振った。
「――私にはここでやることがあります……古代さん」
「ん? なんだ」
「大丈夫ですよ」生意気だとそれを人は言うだろうか。「――兄さんは……兄は。いつも貴方のそばにいて、助けてくれます。ヤマトある限り」
そうなのだろうか。
次郎は、この再生プロジェクトの間中、どんな想いで兄の遺体を呑みこんだこの星と艦に関わっていたのだろう。
 「沖田艦長と兄さんの遺体はついに見つからなかったんですよ」
と言っていたっけ。
「どういうことなのかはわかりません--このヤマトも、元のものを再生したわけではないのです。いくらかの破片・残存していた部品・溶け込んで別の物質に変化していたもの・いくつかの遺産を引き継ぎ、あとはほぼ完全な“再構築”です」
だからね、と次郎は言った。
「【ヤマト】というのは、ある意味、“魂の容れ物”なんですよね」
 波動砲六連発に嬉々とする気にはなれない。力を持てば持つだけ、さらに力の強い者に叩かれるのが宇宙の必定だと、古代はあの旅から学んでいた。--もしかして。地球がこれだけの科学力を持つようになったから、こんな事態が起こったのではないか、そんな不遜な想いすら抱く。

 だが。
 もはや巡り巡って、運命の糸は古代をヤマトに引き寄せた。そこから逃れる術はなく、また逃れようとも思ってはいなかった--一度引き受けたからには。
 そうしてどこかにあったのだ。
 「ヤマトよ--また会えたな」という想いが。

 俺は、罪深い。

 古代のそれは自嘲である。
 だが、そのヤマト=力 を持たなければ、人々を救うこともできなければ、ユキを求めることも叶わなかった。
 運命なら。受け入れよう。

 再び巡り合えたから。
 ヤマトよ、お前と。
 失われたはずだった仲間たち、懐かしく、思い出すのも辛いお前たち--そして、あの苦しかった時代(とき)たちと。

 そして新しい、仲間たちが新たな艦(ふね)と、俺を支える。


 ヤマトはまた発進した。
五たび、地球の運命を背負い、人々を護るために。
サイラム星系・アマール。……そこに古代を待ち受けている運命は?
 ヤマトの旅は、また、始まる
--だがそれは、再び終わることがあるのだろうか!?


【Fin】
――23 Jan, 2012

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2012_01
23
(Mon)23:26

甘い二十>No.20 【再び巡り合えたから】

20.【再び巡り合えたから】
・・西暦2221年、辺境開拓宙域より・・

♪このお話は、『宇宙戦艦ヤマト・復活篇ディレクターズカット版』を元にしています。その感想文のようなものです。ネタバレは含んでいませんが、復活篇をご覧になっていない方にはわからない部分もあるかもしれません(ストーリーの説明は省いていますので)ので、ご了承ください。
 これまで短編は、本編がわからなくてもお楽しみいただけるように書いてきましたが、これは、唯一の例外となりますのでご了承いただければ幸いです。それでもよろしいという方のみ、お読みください。2回完結です♪

               ・・・

= 1 =
 (ヤマトよ、さらばだ――)

 島と沖田さんの魂を乗せて、ヤマトは水没した。宇宙に生まれた、新しい水の星の中に。その凍り付いた光は17年の間、見上げれば其処にあって、己の罪と、後悔を見せつけ続ける。一方で、英雄の名ばかりが一人歩きし、軍の中にも、世間にも、居場所はなくなっていった。
 大切な同志・そしてすべてをわかちあってきた妻と。最愛の娘。子の生まれた喜びと共に、仕事よりむしろ美雪と過ごした日々は充実していた。自分でも命を生み出せるのだ、という救い…そして、幸せ。
 この幸福を、やつらにも知って欲しかったと、そうしてまたその想いは自らを苛む。
 逃げてはならない。
 沖田さんも、島も。そうしてもっと以前の戦いで失われていった加藤たちだって、そう言うに違いない。加藤、山本、揚羽。そうして多くの多くの仲間たち、、、大切な兄さんと慈愛の女神。そして姪。


 ほぉと息を吐いて、古代進は自室の固い木の椅子に斜めに座ると、折り目の形まで覚えてしまった手紙をまた、胸ポケットから出して眺めた。
“――あなた、宇宙はいかが?”
ユキからの手紙が、彼女の声が、文字を伝わって聞こえてくるように思い、しばしの幸福に包まれる。
(大丈夫だ――遠く離れていても)
そう思う安寧と、だが少しの複雑な思いと不安。
(――お前たちを放り出して。俺は宇宙を彷徨っている)
古代の魂は安らぐ場所を得ず、だがやはり宇宙の闇と、そこで得た仕事とは、彼を救っていた。――そして彼を船長と仰ぐ、ベテラン・若者の入り混じった貨物船の仲間たちも。
(地球か――)
遠くに想うのは、その蒼い星ばかりではない。過ぎてきた時間と、だが苦しさは遠くに離れれば少しは癒える。だがそれも故郷(ちきゅう)が平和であるとわかっているからこそなのだ。
彼女のやわらかな声と髪を思い出し、娘の愛らしい瞳を思い出す--だがそれもこの星の海の中では現実感に乏しい。


 その時、びぃと警報が鳴った。
 この辺境開拓区域で、めったに鳴ることはない非常警報は、だが鳴った時は迅速な対応が求められる。そうでなければ単独の古い宇宙船一隻。宇宙の藻屑になっても、誰も助けてはくれないからだ。
 古代はさっと衣服を取ると、艦橋へ登っていった。

 「船長、難破船です!」
こんなところに、難破船? ふと疑問が浮かぶ。同時に、胸騒ぎも。これは、“カン”だろうか?
「全速前進っ! 生存者の救助に向かう」
心なしか張りのある声が響き、《貨物船ゆき》は、再び古代を運命の手に――地球の命運そのものへといざなう場へ向かっていった。
 待っていたのは「Blue Noah」……地球防衛軍の護衛艦であった。そしてそこにかつての自分や土門竜介のように、家族を理不尽な敵に奪われた戦闘士官・上条了がいたのである。
(……何かが起こっている)
「地球へ、向かえ」
 古代進が即座にそう命じたのは、当然のことだっただろうか。


= 2 = へ続く)
2012_01
22
(Sun)00:06

yamato復活編DC版・小上映会

 行って来ました。
 えっらい雨で寒かったですね?
いちおう、お約束かなというので15時開場とかいてあり15時10分前に到着。でも、まだ中には入れなかったので、店長をガラス戸の外から呼んで、「まだ?」と尋ねると、「すみません、まだ」とのオハナシ。昼飯食いそびれてお腹が空いたといってたら、上映終了まで食事はポプコンとかだけだそうな。始まる前に食べようと思ってたんだけどな~(-_-)。
 仕方なく仕事の電話をしていると、そうこうするうち連れが到着。もう一組のお客様もいらして、一気に上映会っぽい雰囲気に。……連れにお願いをして、同じビルの奥のほうのお店にカレーを食べに行く(<をい)。緊張感がないことはなはだしい私。
 やっぱり男の人が多いなぁ、知ってる人、一人もいないってのもけっこう珍しい。

 一番前のソファの席に座れたので、後ろの様子はよくわかりませんでしたが、う~体が沈む。でも良い気分。
 結局、始まってしまうと一気にのめりこみ、あっという間の2時間3分でした。

                ・・・
 上映時間が短くなっているということは、刈り込まれた部分もあるということなんですね。
 それは、正しいのだろうと思う。
 不満が出た部分は、作り手もファンにも、重なっていた部分が多かった。なぜなら、現在、製作に携わっておられる方々こそ、ヤマトで育った方々でもあったからです。もちろん当時のスタッフもいらっしゃるのですが。
 1/28~2/3に、映画館で夜間上映されます。これを見られる方も多いでしょうから、ネタバレはやめます。

 ただなー。
 私にとっては、一度、放映された物語です。これはなんでしょう、リメイク版でしょうか。
 どこが変わった、ここが良くなった、なるほど、という部分が増えた。そう比較して楽しむことも、突っ込んで話題にすることもできるでしょう。大きく変わったのは音楽でした。あれはあれでよかったんだけどなー。ヤマトの音楽に戻っていた、それだけはいえます。
 それだけで、特に後半。見終わったあとの残存する感情が、「ヤマトだった…」わけでした。つまり、割り切れない、後味が良いとはいえない、だけど心の奥深くの、細胞にまで染み渡ってしまうような。

 いま、けっこう辛い気分でいます。
 一昨年に終わって、すっきりした。「Space Battleshipヤマト」で、満足できた。あとは距離をもって、平和にヤマトと付き合っていこうと思っていたのに。
 古代進。やっぱり、あんたはあんただよな。

 音楽を変えただけでここまで変わるとはね。
 尺が変わっただけで、ここまで流れが「ヤマト」っぽくなるとは(<これは当たり前です。脚本を舐めんな)。
 そうして、若者たち一人一人のキャラは、前回より立ってきた、、、のは二度目の邂逅だからでしょうか。

 前回、私はサクライがけっこう気に入っていたのですが(今回も気に入ってますけど)、やっぱりカミジョウ、いいです。それだけは前の上映時以上に、準主役くらいやってもいいんじゃないの、と思います。
 誠実に作ったのだなと感じることはできました。
 でもそれで、生まれ変わってよくなった部分もあれば……やはり失われた部分もある。

 でもでもでも。
 切ないですねぇ。ヤマトの製作者はサドだなみんな。コダイが哀れです。

 ということで、映画館でこの感想や感覚を共有したいと思うので。誰か誘って行くつもりです。明日、もう一日あるのかな。お楽しみください。
2012_01
21
(Sat)12:52

ざわざわ、ざぁわざわ。

 格別忙しいわけではないのだが、朝・出勤、昼・打ち合わせや業務で外出、夕刻・帰社、夜・演奏会(たいていは仕事)とやっていると、本当に余裕がない。事務作業は溜まるし、家に帰ると疲れてしまって仕事の続きはできないし、なんだか頭は整理できないし。
 う~ん。。。なんかダレてんのかな? 調子は悪くないし(でもなんだか頭ががんがんすんだよねー)、さぼりなだけなんだろうか?

 とふと思った本日。
 久しぶりにゆっくり朝寝をしました。

 ほんとはなー。今日は早めに起きられたらカイシャに行って、やりたいことあったんだよね。でも、これから「復活篇DC版」の小上映会です。

                     ・・・
 こっそりコメントをいただいた某Mさま!
 とてもありがとうございます!! うれしかったです。ケラスのファンの方が、ここにもいらしたなんて♪

 あのあと、1/18・1/19はN響の定期演奏会でした。スラットキンはもう80歳近いご高齢ですが、闊達で、元気いっぱい。しかも緻密で素晴らしい音作り。本気のN響の演奏はいつももう素晴らしく、ソリストとしてルトスワフスキの協奏曲を演奏したケラスもまた素晴らしい。本当に、真剣に、現代音楽なので。興味のない人にはちっとも面白くなかったかも・・・なんてことはないと思うんですよ。あの曲を、本当に楽しそうに、美しく、弾く。合わせるのも超絶難しい、演奏技術にいたっては、簡単なはずはないんですけどね。らくらくと。幸せそうに弾くので、聴いている方も、曲の新たな魅力に気づく。

 楽屋にご挨拶に行って、「お元気でね」といったら、うっかり日本語だったということに気づき(<そのくらいこーふんしていた)、あわあわ。日本語も少しはわかる彼は、「元気? 僕はいつも元気だよ」と返され、あ、しまった。「gute reise(よい旅を)」と言い換えたわたくし。英語とドイツ語がぐちゃぐちゃになるということは、きんちょーしてんのかな? 今更(笑)。
 今回はけっこう大きなオシゴトを一緒にしたのでそれのお礼を言われ、あぁこの笑顔とも1年のお別れね(笑)と思いつつ、客席に戻り、、、
 そこからまた、超絶素晴らしいショスタコーヴィチオの交響曲第10番を聴きました。あぁなんて幸せな夜。

 そんな日は家帰ってからパソコンに向かって仕事できないって。。。ねぇ。

 彼は人気抜群とはいえ、マスの聴衆を集めるほどの人気者というわけではないので、来日しても演奏会の数が少ないです。それにホールも客席キャパが少なく、必然、(ぎょーかいの人も聴きたがるので)チケットが取りにくいのですね。次回の来日の時は、コッソリお知らせいたします>某Mさま。

 ということで、是非、聴いてみられてください。
 今回みたいにオーケストラのソリストとしての仕事があると、いっぱいの人に聴いていただけますもんね。願わくは、次はもう少し初心者向けの曲だと、ファンも増えるのにな~☆

 ということで、昨日のアーティクルに、【甘いお題19.】仕切り直し、を置いておきます。まだソフトのインストールがうまくいってなくて、ウェッブページが作れないので、しばらくblog掲載でご勘弁ください。 
2012_01
20
(Fri)19:09

甘い二十>No.19-2

19. 【ほんの少しの行き違い】

= 2 =
 さてこちらは地球のテレサ。
(島さん……)
 いまごろ冥王星の彼方であろう(イレギュラーな事態が起きてすでに出発してしまった、ということは当然、テレサは知らない)。着いたという日に電話してきて、久しぶりに声を聴き、顔を眺めた。

 ようやく島の遠洋航路への往復仕事にも(感覚が)慣れてきた。居ないときは居ないなりの楽しみ方、生活の仕方を覚えている最中のテレサである。
 週に一度のお買いもの、近所への二日にいっぺんのお散歩を兼ねた買い出し。ユキへの定期通信、三週間に一度の軍施設へのチェック出頭。
 時々島の弟・次郎が様子を見にきてくれる。――まだご両親にはご挨拶しただけだが、次郎はなぜか懐いて、時々学校の様子を知らせたり、偵察したりにくるのである。
子どもそのものが珍しいテレサには、それは一つの“台風一過”というようなものだった。
(でも、かわいらしいものですわよね)
 テレザード星にも子どもはいたし、もちろんテレサも昔は子どもだった。
 次郎は顔だちや雰囲気は、大介にはあまり似ていないし、元気いっぱいなところはきっと性格なのだろうと思うのだが、ふっと見せる大人びた表情――この時代を生き残った子どもたちは多かれ少なかれそういうものを持っていたが――が島を彷彿させることがあり、その合間のいたずらめいた表情に、幼い島を見出して、なにか心嬉しいようでもある。

 さてその次郎が帰ったあと。

 部屋の片づけも、翌日の用意も済ませ、読書とニュースのチェックなど終えると……暇だった。
(これはなにかすることを見つけなければいけないかもしれません)
ここのところ、いろいろ慣れなければならないことも多くて、地球のあれこれを学んでいるとあっという間に時間が経った。もともとあまり睡眠時間を多くとる必要もない体である(逆に、眠ろうと思えばけっこうたくさん眠ることもできたが)。あれこれに慣れてしまうと、時間が、余る。――島が居ればあっという間に過ぎる夜も、一人になれば長かった。
 そんな時はテレザートを思い出すこともある。
 宇宙を漂ったときのことを思い返すこともあった。

 テレサには特に深い感情は無い。哀しみ--と呼べるものも、傷ついた思い出もない。ただ静かに、歴史をなぞるように記憶を引き出していくと、何らかの感情が動くこともあった。……そうしてそこに必ず、島の姿がある。
 そうすれば次には、まるでそこにいるかのように生き生きと、島の息遣いまでを思い描くことができた。
(――離れている、という気はしない)
テレサの一種の能力なのだろうか。想像ではなく、映像のように浮かび上がる。……ただ、触れはしない。実態は遥か太陽系の彼方である。

 (そうだわ)
 テレサはふと思い立った。
(寄港しているときは、メールのやり取りができるのでした)
通信でお話しして二日になる。あと二日ほど居るはずだ。
メールが届くまで丸1日。なら、近況報告くらいはしてもいいわね。

 そう思うと、少しいそいそと画面に向かう。
 テレサの目には、その向こうでいつもと変わらぬ笑顔を浮かべている大介の姿が見えていた。


 「え? 艦長、ご存じなかったですか?」
出発前のことだ。ブリーフィング後のランチで、雑談の続きのように航海士が言った。先ほど、艦橋メンバーで昼飯時に話していたことの続きである。
「宇宙の中に突然、温泉が湧いて出ましてね」
(そんなことあるのか?)と内心ツッコミをした島。
「こりゃ珍しいってんで、いまや一大観光地!」別のメンバーが声を重ねる。
「いろんなとこ商業参入してちゃっかりなんだか秘境っぽい扱いになってますよ」
「霊験あらたかだとか」「現代の奇跡だとか」
まったくいい加減な商法だが、そういうノリというのはいつの時代も変わらないのだろうか。
 「手軽に民間船で二泊三日っすからね」「そうそう、恋人としっぽり、というにはちょうどいいんじゃないすか」
島は、え、と言葉を濁してから、そんなに人気なら休みが取れたからといって予約なんざ取れないだろうと言うと。「まっかせてください!」と若い一人が胸を叩いた。「うちの実家、それの開発会社に関わってんですよ。お二人くらい、なんとでもなりますから」
「それに、いまの時期はそんなに込んでませんよ。この間見たら、船は大丈夫そうだし」
――なんでみんなそんなに詳しいんだ? という艦長の疑問は置いておいて。
あまりに皆に勧められるので、そういった点は素直な島は内心で頷いた。
(よし。次の休みにテレサを連れて行ってやろう…)と。

 搭乗直前。さっそく通信回路を開いてテレサにメールを送った。
これから送ったのでは、届くころには自分は艦の上。その返事を受け取ることは帰還までできない可能性もある--まぁたいていは途中の寄港地に転送されているのだが。
 (まぁいい。……それを読んで慌てる彼女でもなかろう)
 どこへ行く。いまどこにいる。
 これは時には機密事項となる。
 いつ出発する。どんな仕事だ。
 これも言えないことが多いのは、軍に勤める宇宙艦乗りの常識である。

 だから船乗りの家族は、彼らがどこにいるかを知らない。「これから帰るから」と言って、懲戒を受けたり減俸された隊員も知っている。
 大介の所属する輸送艦では、戦艦ほど厳しくはないが、それでも。


 島がメールを発信したのは出発直前だった。テレサに届くのは翌日だろう。
 図らずも、テレサがそれに遅れること数時間。地球から冥王星の第二基地にいるはずの島に向けてメッセージを送信した。

 ほんの少しの行き違い。

 だがメールは互いに受け取られることがないまま、「転送」ファイルに保管され、パッケージとして次の寄港先へ転送される。

 だが、いいのだ。
 幸せな休暇を提案する優しいメール。
 待つことのできる幸福を平易な日常に変えて報告するメール。
 幸せな二つのメールが行き違い、宇宙を飛び交う。

 テレサには[宛先の方は現在、当基地に滞在しておりません。メッセージを転送します]という機械的な返信が届くだろう。
そうして島の手にそれが届くのは何日先のことだろうか。
 きっと彼はそれを読み、少し困った顔をして、その後にふんわりとほほ笑むのだろう。
 島のメールはいつ届くだろうか。テレサがそれを読んだ時の驚いた顔を見られないのが残念だ、などと彼は思いながら、艦上のひととなった。

 西暦2203年――1組の恋人たちは、また少し、お互いの絆をゆっくりと深めようとしている。宇宙は今日も、凪いでいる。

Fin
――19 Jun, 2012
2012_01
19
(Thu)12:53

甘い二十>No.19【ほんの少しの行き違い】

注)パラレルE=テレサ生還編 です。
 通常の「新月ワールド」とはまったく異なりますので、ご了承ください。
 テレサが生きていて、島と暮らしています。詳細は、リンクの「島&テレサindex(ParaE)」からどうぞ。

 なお、このお話は、先般間違って作ってしまった「出発--ほんの少しのすれ違い」の続きです。

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19. 【ほんの少しの行き違い】

= 1 =

 「お前、新婚旅行とか行かないの?」
「はぁ?」
島は思わず喉に酒が詰まりそうになって、親友殿の顔を見返した。
「いま、なんて言った、お前」
 珍しく一緒勤務……というわけではなかったが、冥王星に寄港する時期が三日ほど重なって、古代進と酒保で呑んでいた。
 双方の乗務員同士は親しい者もいたので、今夜は小さな基地の街は賑やかかもしれないとそれぞれの艦長は思う。

 「し、新婚旅行って――俺たちまだ結婚してないぜ?」
島の返事はなんだか間抜けだと古代は思った。
「結婚してないったって、届出して一緒に住んでんだろ? 実質婚ていうか、あっち民族とかじゃ昔から当たり前だろ。日本民族だってむかぁし昔はそうだったし――」
そんなことぁ、わかってる!
 島は内心、なんだかおもしろくないことを指摘されたようで、むっとしていた。
 何故むっとするのか、あまり自覚はしてなかったのだが。

 「その前に、さっさと結婚しちまえよ。――戸籍なくたって式やって届出するのはできんだろ? 子どもでも出来たら、困るじゃないか、学校とか。いろいろ」
古代は飲んで気分が大きくなっているのか、最果ての星の解放感なのか、痛いところをどんどん付いてくる。「うるさい!」と突き放すには身近な話題すぎて、島はまたこくりと喉を鳴らした。
「--子どもってさ。そういやぁ、異星人との間に、子どもって作れんのか? バースコントロールとかしてんの?」急に興味津々、という目になって覗き込むのを、
「莫迦野郎っ!!」と引っぺがした。――顔が、赤いのが自分でもわかる。
「――て、彼女はっ。やっと地球に慣れ始めたとこだ。まだ、結婚だの、家庭だの、子どもだのって……」と言いかけて、本当にそうか? と自分突っ込みをした大介。
押し黙ったところを。
「ほぉら見ろ。自分だって気になってんじゃないか」
とさらに古代に言い募られて。
「うるっさいよ、お前。お前こそ、いったいいつまでユキを待たせるつもりなんだ」
矛先を相手に向けた。――攻撃は最大の防御なり。兵法の基本である。
案の定、目をぐりっと回した古代は、お、という感じで身を引き。
「卑怯だぞ、そういう論法は。――俺たちはい~んだよ。時期がきたらちゃんとすんだから。お前んとこはさ、ほら」特殊なんだから、とはさすがに口に出せない古代だ。

 で、なんで急に一足飛びに“新婚旅行”なんだ?
 と島が冷静に考えてみると--いやもうその頃は、いい加減両方とも酒が入っていて、ホテルが近いのと、矮星上の酔いやすさも手伝って、かなり良い気分である。
「……新婚旅行、じゃなくっても、な。どっか行くとかな、こもりっぱなし、じゃ、な」
と古代が言えば。
「うっせぃ。……俺、だってね。どっか行って、ゆっくりとか、したい、とか」
島もほろほろと話し。
その夜が深まる頃には、記憶のどこかにその会話が残るだけになっていた。


 (新婚旅行か――)
それはまぁあまり現実的でないとしても。
島にとっては“結婚”そのものもあまり現実味がない。
一生傍にいて、護ってやりたい。いや、護ったり包まれたり(互いに)し合おうというのがこの間の約束。「幸せ」というのは「仕合わせ」とも書くのだ。一人でなんとか“してあげる”ものではない、というのはこの任務に戻る前に思い知らされたことだ。
 古代とユキのを参考にさせてもらおう--。
 いつか無意識にそう感じていた。
 本来なら古代のお兄さん――守さんが一番相談するには最適な相手なのだが。なにせ、イスカンダルの彼方なので、相談しようがない。
……それに。スターシア女王とテレサ――2人を会わせるのは、考えただけで頭痛がする。
 異星人との、結婚。ねぇ……。

 島にとって、ふだんのテレサは、単に“愛しい女性”であるだけだ。どこの星の人だとか、地球人でないとかはあまり関係がない。そりゃ細かい文化や生理の違いはあるので戸惑うこともあるが、そばにいてくれれば普通に、人と人として生きていられるのだった。
 それに、あの特殊な能力と血液そのもの以外は、ほとんどホモサピエンス亜種といってもよいほどに近い。最初に調べたが“交尾もできる”--ということは、家庭を持つことも問題がない。その生殖や繁栄のシステムも、ほぼ地球型だとわかっている。これはガミラスがそうだったのだから、驚くには値しないだろう。一つあればもう一つあっても、さらにもっとあっても不思議ではないのだ。

 だが、文化慣習は、どうだろう。社会構造も異なる。
 島はその最も保守的なはずの官人=公務員であり、その社会の中にいる。
(結婚式もして、届も出すのが本来なんだな……)
彼はそう考えていた。
 だが。
 迷いがある――いいのか、俺で。
俺はもう、結婚してしまってもいいのか、彼女と?

 島の実家とはゆるりとした紹介、で済んでいる間柄だ。次郎は時々やって来ては、テレサと親交を深めているようだが、両親とはまだきちんと引き合わせてはいない。テレサにとっても“家族の一員”となるにはそれなりの儀式が必要で……それが“結婚”なのかなと島も思う――24歳。現実味がないといえば、ない。


 冥王星を出発するときに、官舎のテレサへ向けてメールを送った。
 惑星間宇宙艦からの私信は禁じられている。パッケージ通信という形での便りは送れたが、管理もされるし許可もいる。もちろん緊急時は可能――そうでない場合は不可。防衛軍の宇宙通信法に則っている。
 だからたいていは寄港した時の通信。宿舎の部屋や、街頭に設置してある通信BOXから直接画面に呼び出して話すこともできる。もちろん冥王星に着いてすぐ、時差なども計算してお話はした島であったが、出発間際の通信のあと、ふと思い立って文字通信を送ってみたのだ。
(届くのは丸一日後、なんだな)
 出発が予定より二日、早まっていた。
古代たちが先発した後、それと合流して途中まで同行、ということになったらしい。イレギュラーなことだが、ないわけではない。
「え~、お前と一緒か!?」「ありがたく思えよ? 宇宙海賊が最近ちょいと流行でな、あの宙域」
 しばらく海王星以遠を離れていた所為で、少々情報に疎くなっている。(もちろん官報で知らされる程度のことは知っていたが、知っていることと現実味を感じていることではずいぶんと違うのだ)
 狙われるとマズイから、日程も発表とは違うスケジュールで。さらには第10艦隊が護衛していくことになった--せめて最重要物資の運搬ラインの間だけでも。
 島がそれを知らされたのは冥王星に着いてからで、しかも出発の24時間前。
 「おう、そろそろ酒、おしまいだぞ」と古代に言われて居室に引き返した直後に、メッセージを受け取ったのである。
(さては古代、知ってやがったな……)
それはそうだろう。仕方のないことだが、ちょっと悔しい。まぁいいけど。


 そうして、島大介は再び艦上のひととなった。
 本来ならその二日後、地球へ向けて出発しているはずだが、再び海王星へ向けて。ジグザグ航路を取るのだという。
 惑星の公転の周期もあって、古代たちはかなり長い間、島の艦隊と同行するそうだ。
 冥王星はすぐに遠くなり、発信されたメッセージだけが地球へ向かった。

(続く)
2012_01
18
(Wed)23:58

ヤマト2199の音楽のこと。

 ここんとこblogを上げていないと思ってるんですが、実は下書きにわんさと毎日のようにメモはあって、なかなか最後が尻切れトンボなんであげられない。資料がリンクできてなかったり、話題が書ききれてなかったり。
とりあえず1本は上げましたが、今日、ちょっと面白いことがあったので、お役にたつかと思い、書いてみます。

 M川彬良さんが「ヤマト2199」つまり、秋からのリメイク版の音楽を担当されることになった、ということを、うかつな私は最初、リアルタイムでキャッチしたわけではありませんでした。
 新作ヤマトは見守ろう。客観的に、いや距離おいてとっかかって、面白かったら(たぶん)夢中で観ようと思っておりました。これまで、私たちが関わってきたヤマトは、実は私の中では「Space Battleshipヤマト」で、けっこう終わっていたりしたのです(それも良い形で)。だから純粋に、楽しめるかな~なんて。

 音楽については気になってはいたのですが、別物だし、いいや、という気分。ヤマトらしく、という欲求もあまりなかったんですね。……これは私の、音楽に対する特別な思い入れの所為なのかもしれず、西崎さんや徳永さんほか、直接にあの時代、演奏に関わっていた人たちとの距離の問題なのかもしれない。

 でもね。
 宮川テイストを持ちながらも、別物。
 才能あるご子息である彼が、どんなものを作るんだろう? やっぱ興味ありますよね。彼は、誰よりもヤマトの音楽の影響を受けた方です。やっぱり「ヤマトであってヤマトでない」ものを楽しめるはず、っていう期待は生まれますし、それゆえに、昔のファンたちも再度盛り上がっているのかもしれません。

               ・・・
 実は本日、ある音楽業界の集まりがありまして、(新年会兼名刺交換会なんす)行ってまいりました。
 関西からも何人かみえていて、そのうちのお一人が、その関係者でいらっしゃったわけです。年齢が近かったり、お互いの仕事の内容をよく知っていることもあって、けっこう話し込みました。

 A良さんは、アンサンブル・ベガという団体を持っておられますが、それが時々東京公演をする。私は毎回、何故か行けなくて涙を呑んでいるのですが、その団体と、もう一つ関わっておられる大阪市吹奏楽団? だっけ? で、ヤマトを演奏する予定なんだそうです。
 もう発表どこかにされてるコンサートだそうですが、5月の西でのコンサート、さらには10月かな? 秋の東京でのコンサートは、半分はヤマト。そのうち、現在彼が取り組んでいる「交響組曲」のほかに、「2199」から4曲ほど取り入れたプログラムにするとのことで、こおいつは超楽しみだぞ★ こーふんして話が盛り上がり、周りに呆れられたことは言わずもがな、、です(笑)。

 2団体のうち後者は吹奏楽なので、弦楽器は入らないのですが、前回の演奏も素晴らしいサウンドコーディネートで、オーケストラに匹敵する響きを作っておられたと聴きに行った人に聞きました。アレンジメントの素晴らしさはお父様譲りといいますか、、、才能なのでしょうねぇ、うん。
 現在、「どんどん録ってる最中」だということで、うわぁ、わくわくします、という気分でした。
 いいなー。

 2・18のイベントにもいらっしゃるそうですよ。(来ることになった、と仰っていました。最初は予定はなかったらしい)
 張り切っておられるようなので(そこにたどり着くまでは大変だったそうですが)、これはとても楽しみですねぇ。

…って、話せるのはこのあたりまで、かな(^_^)。
また続報がわかったら書いてみますね♪
2012_01
17
(Tue)01:03

富士の裾野で、、、合宿(-_-)

 いやぁ、しんどい。
 大人になって、、、しかも人生半ばを過ぎて、一泊二日で楽器を弾きまくる、というのは、しんどい。体中、こわばるし、指は動かなくなる。目はしばしばするし、集中力がお亡くなりになってしまうこともある。
 だが、がんばる。
 指揮者もよいし仲間もよい。曲も素晴らしいとなれば、がんばるしかない。
 しかも、食事は旨い。空気も美しい、、、ただし寒いが、ホールはあったかい。お風呂もついている、しかも温泉。仲間と裸の付き合いもよかろう♪

 ということで、土日とオーケストラの強化合宿に行ってまいりました。
 というのも、本番を来月に控えて、わが弱小アマチュア・オーケストラは恒例の集中練習期間に入ったのでございます。新宿駅に朝、集合。そこからバスを仕立てて2時間半。もちろん全員は乗れないので、自家用車にも分乗。それも無理なひとは、高速バスに乗って一人ずつ楽器と荷物持ってやってくる。
 バスで行けるというのはかなり恵まれているとも思うんですが、バスの中はいきなり遠足状態で、けっこう楽しいですよん。いい大人が。

 というのも、うちのオーケストラは、平日夜の楽団。だから飲みに行ける人も限られてるし、終わってからゆっくりお茶することも、練習前に話し合うことも最低限(運営委員会とか)しかできない。ふだんのコミュニケーションが、土日にやっているオーケストラに比べて格段に少ないんです。
 でも、仲良し。
 だから、バスの中とか宴会は盛り上がりますね~~。あちこちで話の輪が咲く。

             ・・・

 合宿に行くたびに、雄大な富士を見ます。
 富士って、「高い」というよりも「広い」という感じですね。これを見ると、地球ってすごいなぁというのはオーバーですがそう思う。バスの中からの借景3枚。

富士1

富士2

富士3
3枚目は、運転手さんが「よく見える場所で止まりましょうね」と林の切れた場所で撮影させて
くださったもの。何とも素敵な運転手さん(女性)でした

↓物見高くデジカメを構えるオケの連中である(笑)
物見高い人々

                  ・・・
 道路が込まなくてとても早く着いたので、山中湖で一服休憩。素晴らしい空気と景色でした。夏はね、ちょっと、、、なんだけど、冬は素敵。でも寒くて、マイナス4度とかだそうです。
富士4

 翌日の帰りに撮った夕日の富士。なんかいーかんじじゃないすか? ↓
富士5
2012_01
13
(Fri)07:48

弦楽カルテット、、、○○週間

 恒例の銀座通い。
 1月9日から来日している「アルカント・カルテット」のコンサートを聴きに、銀座へ行く。彼らのチケット、なかなか手に入りにくくて、いつも苦労をしているのだが、1枚でも3枚でも同じなので、周りの「ファンです♪」とわかっている人たちはあらかじめ誘っているのだ。
 中でもオメメがは~と♪なのは、某宇宙図書館の管理人であるが。。。(笑)

 今回は三日間、東京でコンサートをやるのだけれども、三日とも異なるプログラム。それがまた絶品にものすごく練られたもので、まぁ聴く人は三日とも聴く。少なくとも私の周りの音楽関係者は、まったく興味関心無し、または三日とも通った人かのどちらか。
 う~私だって行きたかったよぅ>トッパンホール。チケットはあったんですが(人に譲りました)。私は山中湖でチャイコフスキーの五番と取り組んでいたさ(-_-)。

 やつらの演奏は来るたびすごくなる。だいたいソリストとしても活躍中の四人なので、ツアーを組めるのは2年に一回。そりゃ変わりますって。
 私も、某管理人も、チェロのひとのファンである。私はもちろんヴァイオリンの二人も、ヴィオラのひとも大好きだけども。

 この世にこんな音楽があるのかなーと思うことがある。
 難しいという技術を、いとも軽々と越えていく。その越え方には、どんな翼をもっているのだろう、彼らは。意識の翼、技術の翼。それを受取れて、関われる幸せ、というのがあり、同時代に生まれて、出逢い、言葉を交わし、仕事の付き合いではあっても心を通わせることのできる幸せ。
 いいな、音楽って。
 そんな風に思うのもこんな時。

 彼の名をジャン=ギアン・ケラスという。カナダ生まれのフランス人チェリストで、実力派。このblogにも何回も書いたな。
 幸せと元気を貰った、と友人たちも言うし。…彼らが帰国するまでのもう少し。一期一会を楽しんでおりまする。(役得ってやつもあるし)

 興味があれば、聴いてみてください。最新CDはヴィヴァルディで、本来は現代音楽の人なんだけど、これについてはバロック奏法で演奏しています。
2012_01
10
(Tue)00:31

そういえばディレクターズカットの上映会

 皆さん、行かれますか?

 YAMATO CREWからのメッセージが来て、行きたいなぁと思ったのですが、この日、合宿でいないじゃんな日程。オフ会みたいなノリがいいんですよねぇ。私個人的には、一緒にアナウンスされていた新作のキックオフの方がものすごく興味があるのですが(声優さんとかも、結構好きな人々なので、それだけでもイベントらしくて楽しい)、その日もバッティング・ブッキングしており、どうしようかなぁというところなのです。

 ディレクターズカットそのものは、スタッフの方々が、「遺志を継いで」と懸命にやっておられるご様子を拝察していますので、その気持ちは大事に受け止めたいと思いますし、ファンとしても冥利に尽きます。ただし、実は自分の中でのシビアな部分では、まったく認めていません。なぜなら、「作品って一回出したらそれがすべて」でしょ? 「やり直し」ってないんですよー、普通は。ステージは一期一会。作品だって同じですわ。生まれたものは一人歩きする。作り手だけのモンじゃありませんや。

 と私は思っておったりします。
 だから? いやもちろん資格ありますし、行きますよ、当たれば。

 ということで、小上映会の方に応募しましたら、当選しましたので、行ってまいります。。。といっても場所はあそこだしなぁ。行くたびにスクリーンに映してくれていたので、なんかいまさら感はあるのですが(^_^;)ここんとこお店にも行っていないので、同行者一人と行って参ります。

 う~ん、、、だから迷うなぁ。2月18日。早くしないと抽選の申し込み締め切りが。。。ううむ。

 ともあれ、行かれる方はどのくらいいらっしゃいますのでしょうか。
 とりあえず、拝見したら感想は書こうかなと思っています。…DVDも注文しなくちゃね。。。って買うのか? 私。
2012_01
09
(Mon)23:24

林光が、去った。

 林光が亡くなった。新年5日のことだそうだ。
 何度目かに思うけれど・・・一つの、時代が終わったのかもしれない。

 知ったのは7日の朝で(5日の夜から6・7日と寝込んでいたので、あまり知らなかったのだ。発表されたのもどうやら6日のことらしい)。

 その人、誰?
 と思われる方でも、NHK大河ドラマ『花神』といえばわかるだろうか。
 この音楽で有名だが、そのほかにも、、、なんていう言葉では表せない。現代音楽=クラシックの世界では偉大、では済まされない。巨大、というか。いろいろな意味で、大きな存在だった。

 天才、という人たちはある時期に、ごとっとまとめて輩出されるような気がする。
 林光前後には何人もの、作曲の世界での天才がいて、それぞれが違った才能を持ちながら、連関して音楽の時代を作ってきた。。。と私は思う。
 アカデミックな世界(俗にいう“クラシック音楽”ってやつ)では、作曲家の人たちは、こういうテレビのドラマや映画などの音楽(=「劇伴」といいますが)を書くことを低く見る風潮がある。ならハリウッドはどうよ? ということになるのだが、たぶん、通俗名曲を作ってはいけない、というような不文律があるんだろう(笑)。

 もちろん、現代でもそういう風潮は残っているし、逆にわかりやすい音楽っていうのは誰でも書けるため、本当に凄い音楽とそうでないものがわかりにくくなってしまう、という難点はもちろんある。それならば才能は隔離しておいて機会を与え続けた方がよいという考え方ももちろん、一方で正しい。。。と私は思う。
 しかし。
 林光や武満徹は、テレビドラマの音楽を書いた。これによって、例えば大河ドラマや劇伴のクオリティは上がった…なにより多くの人の耳に触れることになった。彼らのもっている、なにかこう魂のようなもの。

 芥川也寸志に『赤穂浪士』が、武満徹に『夢千代日記』、伊福部昭が『ゴジラ』、、、そんなことを言い出せば、多くのものすごい作曲家の人たちが映画や演劇や音楽に関わってきて、現在も関わり続けている。

 話が逸れたけど。
 林さんとは、自分が若くて、まだ音楽の世界を目指して夢を持っていた(びんぼーな)時代に、なにかとかかわりのあった方だった。直接お会いして話したということでもないし、教えを受けたこともない。I辺先生とは仲良しだった(ご一緒に連弾して遊んだりなさったり、行き来はしょっちゅうしてたらしい。お近くなので)のに、何故かマネージャー女史にキラワレテ、取り次いで貰えなかった(;_;)という悲しい過去がある(笑)。

 しかし彼は二つの大きな活動を、本業以外にしていた。
 一つが、「オペラシアター こんにゃく座」

 オペラ、って楽しいよね。色恋沙汰を中心に、人間や愛情やどたばたを描く…のが普通のオペラ。だけどこのこんにゃく座はそうではない。
 どういうんでしょう。演劇でいえば、プロレタリアート文学ってやつでしょーか。
 台本も音楽もオリジナル。座付きの団員たちが歌い、踊り、芝居をする。……何度も見に行ったけれども、うまいですよ。そして、脚本が素晴らしくて、怖い。

 社会派、というのでしょうか。
 一番有名な演目は『森は生きている』ですね。ロシアの民話を元にした、十二月の精たちと貧しい母娘、わがままな女王様(=少女)の物語。
 個人的に、もっとも印象に残っているのは『ガリバー旅行記』ですが。。。なにせ台本が原民喜。原爆と第二次大戦をネタに取り込んだ、シビアでうなされそうな内容でした。

 そうしてもう一つの活動が、「赤い機関車」といいました。ネット引いてみたけどさすがに残っていませんな(笑)。一時的な名前だったのかもしれませんけど。

 合唱曲としても素晴らしい曲をたくさん残していただき、私個人でも「日本抒情曲集」や「原爆小景」などをうたっています。幻の名曲としては、「死んだ男の残したものは」(林光編曲版」というのがありますねぇ。ジャズっぽいピアノ伴奏がとても良いのです。

 なんか思いつくままにつらつら書きましたが、ともかく凄い人でした。驚きからまだ立ち直れない感じがします。

                      ・・・
 ワイセンベルクが82歳で亡くなりました。
 ピアニストです。
 池田理代子さんや竹宮惠子さんの漫画などお好きな方は、マンガの中でご存知の名前かもしれませんね。私は生演奏は聴く機会に恵まれませんでしたが、LPはけっこう聴きました。好きな演奏家だっただけに、もっともっと元気で長生きしていただきたかったです。
 時代はゆっくりと変わっていきますが、彼らと同時代を過ごせたことを、私は幸せに思わなくてはならないなぁと思ったのです・・・20代の若いころに。
2012_01
08
(Sun)23:20

お詫びと訂正>アーティクル“すれ違い”

 前に共同本を作っている、という話を書きました。
 現在、3人で鋭意作成中です。(ってそれぞれ勝手に走りながら、メールで相談してる・笑)。

 その過程で、チェック入りました。
 昨日までアップしていた(19)って……。違うじゃん(>_<)。

お題そのものを勘違いしたまま、物語を作ってしまいました。お題というのはそれそのものがテーマでなくてはならないですし、テーマでないまでも、深くかかわっているべきでしょう。違う言葉じゃどうしようもないじゃない!?

 私が書いたのは「・・・すれ違い」で。
 本来のお題は「・・・行き違い」でした。
 ひとりでやってると怖いですねぇ、こんな凡ミスするんだ。

 たいへん、申し訳ありません。このお話、没です。
 なので、しばらくblogに置いたまま(タイトルはもちろん変えました)、ページの作成が済みましたら、パラレルEに収載して、以降してしまう予定です。

 「甘いお題」の(19)「ほんの少しの行き違い」は、きちんと本来の言葉の意味をとらえた話で、もう一度、提出する予定です。

 あうあうあう。
 せっかく(20)を書こうと張り切っていたのになぁ(;_;)。
 連休中のUpは無理になってしまいました。残念ながら。

 阿呆なワタクシですが、お見捨てなくお読みいただけましたら幸いです。
2012_01
06
(Fri)19:07

「出発--ほんの少しのすれ違い」(5)fin

[2012.1.04のアーティクルの続き]

= 5 =

 島大介は結局、是枝薫の誘いには乗らなかった。
乗れなかった、というのが正しい。
 島の現在の望みは、テレサを守れる環境を整えること――静かに暮らしたかった。第8輸送艦隊から第3中央艦隊への異動は、地位は変わらないが明らかな出世コースを意味する。そうなれば様々なものに巻き込まれるだろうし、是枝はその懐刀として島を欲したということがわからないような彼でもない。
(また見込まれたものだ――)
共に戦ったことも同じ艦(ふね)に乗ったこともない。古代を、でなく自分を、というのがわかるようなわからないような気のする大介なのだ。

 だが島は現在の生活を手放したくなかった。
 確かに第8輸送艦隊は、航海に出ている時間は長い。それでも、太陽系内のメイン航路だから古代のように外周へ出ることもなければ不規則な勤務もない。金星・太陽ラインほど危険度も高くなく……そうして、ある程度は休みも取れた。それに、地球からの往復日程が短いのだ。
(今の自分に、これ以上を望むことはできない――)
島の結論は、こうである。

 それでもまだ、彼は宇宙(そら)へ戻ることを躊躇していた。

 置いていって、大丈夫なのだろうか。
 彼女は――いや自分は、その不安に耐えられるのだろうか、と--。


 日は刻々と近づいている。

 (話さなくちゃな――)
 テレサに。
 なによりも、大切な、本人に。

 君のために地球に居た--だがそれも終わりを告げる。
 僕は宇宙を飛ぶしか能の無い男だ。だから、宇宙を飛ぶ--そういう風にしか君を守れない。

 テレサという特殊因子を抱え込んだことと――。
彼自身の体内に流れる特殊な血--。
そうして数々の特権と、義務。さらにはヤマトの秘密と保守義務。

島大介には“軍を辞める”という選択肢は与えられていない。
特に希望をしたことがなかったから、明示もされなかったが、“これからの生活”を考えて検討してみた時に初めて、それを知った。
「迂闊――」だったと、いえよう。

考えてみれば、あの最初の戦いのあと。
そうして毎度の、あまりにも厳しいヤマトの戦役のあと。
それぞれには退役の自由と年金の保証が与えられていた。
ヤマトの幹部乗組員については、退役はあまり推奨されなかったが、それでも、それぞれに進退についての一応の打診はあったのだという――古代進でさえ、もだ。
だが、島には記憶が無い。
そういわれた覚えも、書類を見た覚えも、無かった--。

 不審に思って、真田に話してみたことがある。すると彼は、黙って首を横に振った。
 問い詰めると、「残念だが――君の自由にはならない」とだけ返された。「だが、私も同じだがね」と真田は言い、その表情の奥に、微かに不敵な何らかの決意を見たような気がしたのは気の所為だったろうか--。
 島大介と真田志郎。
 2人ながらに、軍からのリタイアもエリミネートも許されない。そういうことだった。


 「島さん? おいしくないですか?」
ブロッコリーがたっぷり入ったグラタンを前にぼぉっとしていた大介は、テレサの声に、はっと現実に返った。

い、いや。とても旨い。
とっさに我に返り、にっこり笑って真剣に見返す。--この笑顔で相手の誠実を疑う女は――男も――居ない。
だがテレサは物おじせず、じっとそれを見返した。緑の瞳――不思議な琥珀の色。
再びスプーンが止まって、「あら。冷めてしまいますわよ?」と不思議そうに。
あ、あぁ……。慌てて口と手を動かす。――やけどしない程度に表面は冷めたが、中はまだ熱い。サラダとビールで口を冷ましながら、ふと、(いつの間にこんなに料理が上手くなったんだろう?)と思う大介。

 2人が食事を終えると、食器を片づけてカモミール・ティをポットに入れてきたテレサが椅子に掛けながら言った。
「大介さん? 私。……少しは進歩しましたでしょう?」
え? とカップを口に運んでいた島はテレサを見返す。
「――すれ違っています。気づきませんでしたか?」
(すれ違って? 何が? いつ!?)
ドキりと胸が跳ねる。
 「大介、さん?」
嫣然と、とテレサは微笑んで、カップの向こう側から島をまた見つめた。両肘をテーブルにつき、手に顎を乗せた珍しい恰好で。くすりと首をかしげて微笑む。
愛らしい--と思ってしまえるような所作で。
「ど、どうしたんだ? 君」
「――もう、三日前でしょう?」
 なんのことだ、と言いぬけるのも白々しかった。
「ご用意は、出来てますわ、私の方は。――あなたは、どうなのでしょうか」
やっぱりそのままで、まるでこちらが子どもにでもなったように、やんわり微笑まれて、島は戸惑った。
「--僕の勤務のこと、知っていたの?」
微かに彼女は金の髪を揺らす。
「知らないとでも?」
こういうやり取りは、なんだかはるか昔の記憶を呼び戻させる。
 それは一気に島大介を、あの空間へ、時間へ持って行った。

 (そうだ。この人は、僕が守ってやらなきゃいけないだけのひ弱な人ではない――地球を守り、自分の星を守り、勇敢に闘った人だった――)
 駆け引きもし、宇宙の多くの民族を相手にし……メッセージとその能力一つで。
 ただ一人で。

 「私は――ひとりでも、大丈夫です」
 目を上げたテレサは、やんわりと、だがきっぱりとそう言って、また笑った。
「不安なのは、島さん--あなたでしょうか」
 やんわりと、だがきっぱりと言われて、行く手をふさがれる。
 島は立ち上がると、するりとテレサの傍らに立ち、その髪に手を触れた。
「ごめん……」
ううん、とテレサは首を振る。そのまま顔を柔らかく抱いた。
 不安なのは自分だ--とうにわかっている。
 閉じ込めるようなことも――居ない間、何もできないことも--そうして。それなのに宇宙へ出てしまえば、ひとときとはいえ、それを忘れてしまえる自分にも。

 「私は楽しんでいます――地球という星と、生活する、ということを」
「テレサ……」
「ひとは、感情の動物。……私がどういった意味で“ひと”であれるのか、とか。この地球のお野菜は、どういった意味があるのか、とか。食べると美味しいというのはどういうことか、とか。レシピが変わればこんなに印象が違うのはなぜかとか。どうしてこんなにいろんな人がいるんだろう、とか」
 面白いことはいろいろあります……。
 話し出すときりがない、というような様子で、テレサはいろいろなことを上げていった。そういえば大介は、あまり彼女の話を聞いたことがない。無口なのか口下手なのだと思っていたのは、思い込みだったのかもしれなかった。

 ほんの少しのすれ違い--。

 こんな風に、小さなすれ違いが、いったいどれだけ僕らの間にあるのだろう。
 いまさらながらに此処にいて、触れることのできる彼女が愛しかった。


 小さなすれ違いって、埋めるために――相手にとって自分がどうなのか、って知るためにあるのかもしれませんわね。

 三日後。
 機上の人となった大介は、艦橋でふと、テレサの言葉を思い返した。
 「艦長? 恋人ですか? ――すっげぇ美人ですね」
机の上に置いたフォトフレームを目ざとくみつけた新人艦橋要員が軽口をたたく。
思わず「ばぁか」と言って帽子を目深にかぶりなおした。
「おいっ、阿呆なこと言ってないで、とっとと準備せんかぁ!」
先任にごいんと後ろ頭を拳骨で殴られて、「ひどいですよぉ」と涙目になり、大介はくすりと帽子の陰で笑う。

 そうだな。
 君は綺麗だ――そして。強いよまったく。
 目の前の空と同じく、心は平静に済んでいる。

 第8輸送艦隊の自席も、久々の搭乗を喜んでいるかのようで、また艦橋も軽い興奮に沸き立っていた。出航前の、いつもの風景が返ってきていた。

【Fin】
2012_01
04
(Wed)23:58

「出発--ほんの少しのすれ違い」(4)

[2011.12.24 のアーティクルの続き]

= 4 =


 士官食堂、は軍施設の中でもその名の通り、士官しか利用することのできない食堂である。身分がきっちり分かれており、佐官以上でないと通常利用することはできない。島はまだだから本来なら出入りできないのだが、実はヤマトの幹部隊員だった者は、此処へ出入りできる資格を持っており、通常利用しても一向に構わないのである。古代進だけは身分上も何ら問題なく利用できるのであるが、彼は持ち前の性質上、よほど業務上の必要とか一緒に食事をとる相手が上官であるとかの場合以外は、一般食堂の方が落ち着くと言い、ほとんど使っていないことを島は知っている。もちろん島も、使ったことは数えるほどだ。
 此処をよく利用しているのは仲間では、長官秘書である森ユキと、いろいろな必要上、出入りすることが多いらしい相原・南部くらいだろう。

 軍の施設であるから外からは普通の部屋だが、中へ入ると入口から赤じゅうたんの敷かれた豪奢なつくりである。調度や機能に工夫があるのもわかり、なにより給仕が正装していること、メニューが正餐が頼めること、などいろいろな違いがある。もちろん、普通に来て食事できるメニューもある。

 指定された奥のVIPルームへ足を踏み入れると、すでに3人が先に着席していた。島が敬礼をしてから入っていくと中の2人は立ち上がり、席を促す。一人は島が所属する航路管理課の課長であり、この日呼び出した本人である。ありがとうございます、とお辞儀をして着席すると、要件はまぁ食事をしてからにしようといわれ、前菜が運ばれてきた。
 座ろうとした時に、座ったままだった相手は島に一瞬、目線を呉れた。好意的な目であったが、島の方はどこかで見た顔だと思いながら相手を思い出せない。明らかに他の年配の2人より地位が高いと思われる彼は、どこかの艦隊司令だろうか。本部には見ない顔である。島より5つ6つ年上だろうか?
 「島くん、こちらは是枝大佐――お会いになるのは初めてかな?」
総務課の課長と名乗った人はそう言って彼を紹介した。「君の仲間の古代艦長ほどではないがね、若き出世頭だよ」
「よろしく、島くん」
軽く言って、まぁ食事にしようじゃないか、と言う。
 島は素早くその場を見取った。
 是枝、いまは大佐か――その名なら覚えがある。
 古代進とは知己のはずだ(ヤツから名前を聞いた)。やり手だという。やり手で癖はあるが、頼りになる先任で、現場主義・合理主義・実力主義。俺は気に入られてるみたいだけど、なぁんだか気に食わねぇ……そんなことを言っていたから、かなり気に入っているのだろう。古代が親しみを持っている、ということは、悪い人じゃない。
 そこまで頭の中で精査し--となると、もっと年上だな。もうじき准将になるという噂があったが、そうか。


 当たり障りのない話をしつつ、島の少しの緊張を乗せて、食事は順調に進んだ。確かに舌鼓を打つ味で、初めて此処のディナーを味わった彼は、「こんどテレサを連れてこよう」と脈絡なく考える。――そういう利用の仕方もアリなのだから。
 少し重めの肉中心のメニューをすっきりとまとめるデザートを食べ、食後の珈琲となったところで「さて」と上官が話を切り出した。

 是枝が切り出した内容は、島にとっては予測のできないものだった。
「は? 私が、貴方の艦隊にですか」
思わず彼は言い返し、総務課長が咎めるような目線を呉れた。それに気づいたが是枝は、構わんよ、君の意見も訊きたいと思っての場なのだからねと制し、先を促した。
「――君はその若さで現場の実績もある。メインの航路を任せて、安心・迅速・確実な上、緊急時の対処能力もずば抜けている。違うかね?」
島は答える代わりにじっと目の前の男を見返した。
 島大介は、自分の宇宙戦士としての能力は、自分ができることとできないことをきちんと理解していることだと考えている。妙に謙遜することもなければ、過剰に自信を持ちすぎることもない。ヤマトを降りればなんといっても公務員だ。日々の勤めをこなすためにはある程度の野心は必要なのである。だが、積極的に出世したいとか、何かの目的があって務めたいというわけではない。――だがいつの頃からか……“宇宙に出たい”。自分がまさかその宇宙戦士特有の病の持ち主だとは。そのために、より有利な条件で、そうしてどうせ仕事をするのなら楽しくしたい、というのも見かけに拠らぬ大介の現実主義だ。さらに現在は、もっと切実で重要度の高い案件がある――。
 是枝の評価は妥当で、おそらくそのためのデータも持っているに違いない目の前の人が、何故自分をメイン航路である第8艦隊から外して持ってこれると考えているのかと思った。
「是枝上級大佐は、“第三”の司令になられる」
島の上官が横から補足した。
 (第三!?)
第三艦隊は、地球防衛軍の主力艦隊である。第5・第8・第10輸送艦隊がメインのパイプラインであるのと同様、艦隊のメインは第三・第五で、古代の属する第10艦隊なぞは僻地艦隊とでもいえる。まぁ彼はまだ若いのだからこれから、というところではあるのだが。
 この若さで第三の総司令に抜擢される、というのは、“大出世”というのに違いなかった。
「その第三艦隊の輸送艦を、私に?」
いや、わが旗艦だ。――と、是枝は言った。
 島大介はヤマト以外では戦艦に乗ることは少ない。主に地球のパイプラインといわれる航路を担うことが多く、またそれは幹部たちの意向にもよる。必然、古代や相原らとは現在、別航路を担当している。
 現在の第8艦隊では、島は艦長兼操舵責任者でもあった。そこに戻るはずだったのだ。
 「戦艦、ということだよ、島くん」是枝は言った。「私の艦の航海長として君を希望している、というのがその意味だ――勤務は第8の方が過酷だと思う。太陽系が平和裏な間は、だけどね」初めて彼は目を上げて島を見据えた。戦闘状態になれば言うまでもないのは誰もがわかることだ。
「だが君には断る権利もある。――通常は、そんなものは無いがね。君の実績が私をその気にさせ、君の現在の立場が、選択権を君に与えている」
「是枝さん!」総務課長が口を挟もうとしたが、手で抑えられた。
複雑な顔をしていた島に、上官が「君の、同居人のことだ」と、優しいと取れないこともない口調で言う。思えば様々な手続きを踏むのに、直接、いろいろな対応をしてくれたのもこの上官なのである。
 「――君の、被保護者がどういう方(かた)か、私も知っているうちの一人だ。いや知ったのはごく最近だがね。AAA級のシークレットだから、当然、口外する権利は私にも無いから安心したまえ」
そういわれて、島は本当に安心した。「彼女のためにも、来ないかね?」
島は一瞬、躊躇した。
じっと目の前の空になった珈琲カップを眺めた。

= 5 = に続く

【5】で、おしまいです(^_^)♪(たぶん)
2012_01
01
(Sun)22:11

明けましておめでとうございます(_ _)

 今年もよろしくお願いします。

 ゆるゆるとやってくつもりです。
 ちょと前ならなかった「これもあれも」の積み残しが少しずつ溜まるようになって、「ま、いっか」も増えた昨年でしたが、仕事が急に忙しくなったということはまぁ良いことなのかもしれません。
 いろいろたいへんな年でしたね。
 しかし、お酒とおせちとジルベスターコンサート&ニューイヤーコンサート(<今年はなんと生中継を見たのだ)で元気になり、ぐっすり眠って2012年もはや一日目が暮れようとしています。

 うふふふ。
 ↑笑う門には福来る といいますので、笑ってみました。

 とりあえず、年末も年始も、FBの「お友だち」方面は働いてますなー。テレビに映ってたり(もちろん楽器を弾いていたり演奏会場に居たりする・笑)裏にいたりする人々が歌舞音曲屋さんには多くて、なんだか頼もしいというか楽しく年越しを迎えました。

 年々脳は劣化する一方ですが、せめてひととしては進化したいものだ、、、と思う今日この頃。
 今年も、楽しくいきましょう♪

 ヤマト的には、人波超えて、次の波、ってところかな~。ざぶ~ん、といくのを見守りつつ、旗振りながら楽しんでいたいと思います。

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