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2014_08
06
(Wed)22:08

沈黙の夏

 言葉もなく。

 69年前の今日、広島とその周辺では14万人もの人々が、無碍に亡くなった。
 一瞬のうちに蒸発した方もいれば、苦しみながら亡くなった方もいた。
 と、だがそれは私の世代でもすでに、伝聞であり、書物や知識の中、
 上の世代の人たちから聞く話でしかなくなってしまった。

 繰り返されてはならない、愚。
 そして来年は、戦後70年を迎える。・・・信じられないことに。
 
 だからといって、一人の人の死が、それより楽だというはずもなく
 比べられるものでもない、とはわかっているのに。

 人はいつかは逝ってしまうのだと覚悟を決め、もちろん自分もその一人であって、
 その覚悟もしなければならない、だができるだけ先にしておきたいと臆病で怠惰な自分はそう思う。
 この人と知り合えて幸いだった・・・と思える人は、現在の戦中派といわれる世代には多く、
 知り合う人が増えれば、多くの人と別れも増える。

 いつかはさようならをするのだと思いながらも、
 別にそれが今でなくてもよいではないか、と恨めしく思い
 だが逆に、もっと以前でなくてよかったとも思う。
 年配の友人や貴重な知人を持った者なら、誰しも感じたことがあるだろうが。

 今でもあの“声”を聴くたびに、時には(こっそり)号泣してしまう自分がいるから
 その人と共に歩んだ方の死は、一つの時代を確実に終わりに導く。

 冥福を、祈る。
 そして残された人々の安らかなるを祈る。

 沈黙の夏に。