[tales:タイムカプセル・2]
…ということで、blog連載続きです。
さて、続くのでしょうか(笑)
(1)はこちら
(2)
「何故あんなことを言った」
2人きりになると島大介は棚橋未悠に改めてそう尋ねた。
広くはない通路を自動走行で運ばれていく間も顔をそむけたまま目を見ようとはしない。「…反省は、してるんだろ?」
きっと顔を上げて。
「反省――なんかするもんですか。皆、きれいごとよっ。…だぁれも信じてなんかない、地球にいたからって楽な暮らしなんかできっこないから。それならまだ、食べるものもあって、若い……あの、男の人とかたくさんいそうな、エリート集団とご一緒の方が良いかと思って、居るだけよ。えぇ、女たちみんな、そう」
吐き捨てるように。挑戦的な目をして、島を睨み返した。
――この娘はどうして、こうも。
「明日も明後日も……大介兄さん、あんただって、信じちゃいないんだ。偉そうに航海長だっていっても、行く先だってわかってないって……あたし、知ってるのよ」
「――未悠」
島はまたため息をついて彼女の肩に手を置いた。
「いい加減にしてくれ。――君が何を苦しんでいるのか、わからないでもない。だがな、皆それでも明日を信じて、イスカンダルへ向かっているんだぞ……」
「お説教はたくさんっ!! きれいごと言ってもっ」
数歩駆け出し……出頭する途中と思い出したか、立ち止まって。
「あんたは昔の、大介兄ちゃんじゃないわ」
「未悠――当然だ」
静かな口調で島大介は彼女の言葉を受け止めた。
「俺はいま、俺個人ですらないよ――地球の希望と、人類の未来と。それが俺の肩にかかっている…いや俺だけじゃない、君にも、古代や森や、乗組員すべてがそうだ」
「そんな理屈」
「本気で、そう思っているよ」
…だとすれば。相当みんな、お目出度い集団ね。
横を向いて、あとは押し黙ったまま、もはや硬く口を閉ざして開こうとはなかった。
to be continue...(3)へ
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「何故あんなことを言った」
2人きりになると島大介は棚橋未悠に改めてそう尋ねた。
広くはない通路を自動走行で運ばれていく間も顔をそむけたまま目を見ようとはしない。「…反省は、してるんだろ?」
きっと顔を上げて。
「反省――なんかするもんですか。皆、きれいごとよっ。…だぁれも信じてなんかない、地球にいたからって楽な暮らしなんかできっこないから。それならまだ、食べるものもあって、若い……あの、男の人とかたくさんいそうな、エリート集団とご一緒の方が良いかと思って、居るだけよ。えぇ、女たちみんな、そう」
吐き捨てるように。挑戦的な目をして、島を睨み返した。
――この娘はどうして、こうも。
「明日も明後日も……大介兄さん、あんただって、信じちゃいないんだ。偉そうに航海長だっていっても、行く先だってわかってないって……あたし、知ってるのよ」
「――未悠」
島はまたため息をついて彼女の肩に手を置いた。
「いい加減にしてくれ。――君が何を苦しんでいるのか、わからないでもない。だがな、皆それでも明日を信じて、イスカンダルへ向かっているんだぞ……」
「お説教はたくさんっ!! きれいごと言ってもっ」
数歩駆け出し……出頭する途中と思い出したか、立ち止まって。
「あんたは昔の、大介兄ちゃんじゃないわ」
「未悠――当然だ」
静かな口調で島大介は彼女の言葉を受け止めた。
「俺はいま、俺個人ですらないよ――地球の希望と、人類の未来と。それが俺の肩にかかっている…いや俺だけじゃない、君にも、古代や森や、乗組員すべてがそうだ」
「そんな理屈」
「本気で、そう思っているよ」
…だとすれば。相当みんな、お目出度い集団ね。
横を向いて、あとは押し黙ったまま、もはや硬く口を閉ざして開こうとはなかった。
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