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2010_04
03
(Sat)01:30

[First contact:05]

【第一報・・・星の彼方より】(05)

・・・この話は「宇宙図書館」の「復活篇へのオマージュ」の1本に「第一部」として収載予定です。・・・
そのため急遽indexの整理をし、一章ごと1本にまとめる作業をしたために一時的にダブり原稿が
掲載されていました。あれ? 飛んでないか? と思われる方は、読まれた時間等によって
異なる可能性があります。
章ごとに整理いたしましたのでご覧くださいね。

 ちなみにこのお話は、あくまで「『復活篇』へのオマージュ」ですし、解釈の一つですので、
特にこれ単独で事件が起こったり、面白いことになったりはしませんので、悪しからず♪
 第一章は、9章・11単元の予定(^.^)。

 第二章はもっと短いと思います。それで完結ですが、第二部は5月までに出来るかなって
とこですね(あんま時間が取れなくて)。

 ◆ ◆
・・・さくさくと続きです。人口、「13億」でいいのかなぁ。少ないよね→全部で20億にしました・・・

[ご連絡と拍手コメントその他へのお礼]
>>コメントいただいたMさま
応援ありがとうございます(_ _;)
このようなblogに書き散らかしてるものでも楽しんでいただけて嬉しいです。
…いや、ネタをバラせば、話はほぼ出来上がってるし、半分書き進めた所からスタートしているので
連載そのものは、別に書く速さとは関係ないんですよ。あまり1回が長いのもアレなんで、小分けして
ますしね(^.^)。今後ともどーぞよろしく。

>>コメントいただいたYさま
ご連絡ありがとうございました。メールいたします(^.^)♪

さて、「宇宙図書館」の方がそろそろ再起動し始めたようです。
この週末、「復活篇のオマージュ」とか「再生・発進」とか少し上がるかな? かな!?(<「ひぐらし風」)
上がったらまたご紹介しますね。

【第一報・・・星の彼方より】(05)

【前のお話】 (01) (02) (03) (04)

= 4 =
 加藤四郎はまだ少し、トランザムに残るといった。
議論を重ね、何ができるか、何をすべきかをまとめ、その結果をマーメイドに
持ち帰らなければならない。まだ新しい国である。
「島くん――気をつけてな。プロジェクトの成功を、祈るよ」
「ありがとうございます――正直、貴方の応援が得られて心強いですよ」
「応援――できるかどうかは、わからんのだ」
「いえ、応援ですよ」彼はそう言って、傍らの少年を見返った。
こわばった面持ちながらもにっこり笑ってみせる大輔だが、やはり13歳の少年。
父親とも離れ、何万光年の彼方へ赴くのだ。不安を押し殺すのに精一杯だった。

 行こう――踵を返し、地球へ向かう船に乗り込む。
 加藤大輔がマーメイド星系、そしてまたその両親と再び見えるのは、この後、
長い時間を経なければならなかった。

 マーメイド星系と将星トランザムを擁するココス星間国家は“静観”の態度を
取った。これは消去法でも日和見でもなく、積極的な静観だと伝えられた。
(――それだけでも。第一歩だ)
大きな成果を得られたというわけではない。だがこの地球の危機を訴え、できる
だけの手を打っておくこと。さらに目的を絞り込み、早急に移民船団をまとめ
あげ機能させることが現在の島次郎の手にある急務であり最優先事項だった。
 どれだけのふねを作ることができるのか。
 どれだけの人材を集められるのか。まずは技術者と資材。そうして――現在の
商船学校、軍の訓練校、大学。予備役までもかき集めて、宇宙へ出るための、
何億もの民間人を組織的に動かすだけの機動力を得ること――データを集め研究
を進めることを人任せにしてでも、動きまわり、人を説いて回らねばならない。
……次郎にとって決して得意とはいえない分野ではあったが、やらなければなら
なかったのだ。
――あの戦いで没した、兄と――あのふねの名を、最大限に利用してでも。

 その艦――ヤマトと兄・大介をふと思い出していたことは、隣に座っている
加藤四郎と佐々葉子の一粒種・加藤大輔とは無縁ではない。
この子が宿った時、佐々さんは古代さんに問うたという。
「男の子だったら、お前の親友の名を貰いたい。私たちにとっても島大介は大切
な男だった」そう言ったと聞いている。
当時、自分たちの家と佐々さんの間には何のつながりもなく、病院ですれ違った
くらいで記憶はなかったのだろう。
――それに、あとから聞いたことだが、佐々さんと兄の間には噂もあったのだ
そうだ。加藤さんと家庭を持つ以前のこと――兄が大切な人を戦いの中、失って
ヤマトと共に過ごしていた季節のことだ。
 そうだ……ヤマト。
 上官にあたる真田局長が何か考えているだろう、と次郎はすでに察していた。
あの人が地球を諦めるとは思えなかったのだ。移民船団の結成を自分に任せ、
本人はもっと深い処で、様々な手を尽くす――そうして真田長官あのひとの本当の思慮
を知るのは、絶体絶命の危機に陥った時だけだ。……古代進から聞いた言葉を
思い返していた。
 (そのためには…)
 25歳というのは、この太陽圏規模の大事業を纏め上げるにはあまりにも若年である。
政財界のつながり――ヤマトの元乗組員やそのネットワークが使えるとはいって
も、人々を動かすには危機感と共にある種の要素が必要だと心得ていた。
“ヤマトの英雄の弟”――それだけでは足りない。もう一つ何か。
そしてそれは実質の力を持っているものでなければ。
(古代さん――使わせていただきますよ。貴方の伝説と、その宙空に凍りついた艦をね)
島次郎は目を閉じて船のスピード感を体が感じるに任せた。
その脳裏には、古代の妻・伝説の“ヤマトの女神”である森雪の、長じてもなお
美しい姿が浮かんでいた。

 地球までは約10日。科学局の粋を織り込んで作られた高性能小型高速艇のワープ
能力を駆使といえど、それは果てしない距離である。


(…(06)へ続く)

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