fc2ブログ
2011_05
03
(Tue)00:15

ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン~届け音楽の力

 今年は書くつもりはなかったのですが、やっぱり是非、来て欲しい。いや、今年だからこそ遠出しないという関東の方とか上京した地方の方とか、お時間があったら立ち寄ってほしいと思います。

 4月29日、ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン2011 「とどけ!音楽の力 広がれ!音楽の輪」が東京・丸の内でオープン。今年は東京以外で金沢のほか、新潟、びわ湖、などいくつかの地方でも行なわれます(内容は少しずつ違うけど)。
 メインの有料公演は、5つのホールに縮小されて、5月3~5日の朝から晩まで。東京国際フォーラムのホールC・D・Gと読売ホールを使い(ヤマトの試写会をやったホールAは4月の余震で使用不可になりました)行なわれます。5月2日の夜はその前夜祭コンサートが行なわれ、様々なメッセージが発信された、、、んですよ。

 ブラームス、シューベルト、ベートーヴェン、マーラー、リヒャルト=シュトラウス……ウィーンの世紀末に集った天才たちの音楽をテーマごとに奏でる企画(今年は)。大きな企画はできなくなったけれどもスタッフの不休の努力や熱意と、外国人を含めた熱いメッセージ・行動に助けられて開催が再決定され、プログラムがすべて新しく発表されたのがわずか10日前のこと。

 演奏の合間にMCが入るのですが。彼らは本気でそう思っていて、そうだから日本に今ここに居るのだなと思うと、普段は感情的になることをあまり善しとしない自分ですが、それでもいいかと思ってしまうものですな。多くの外人さんたちの来日公演がキャンセルまたは延期され、中には自分が責任を持たなければならない立場があったくせにとっとと帰ってしまった人もいる(それのフォローのために来た同じ国の人もいる)。
 個人の事情、国やその人の立場もあろう。だからそれに対してどうこういう権利もなく、つもりもなかったけど、でもこうして喜ぶ分にはいいんじゃないかなぁ、と演歌な気持ちの私がいるわけです。

 「彼らはこの災厄を知った時に、最初に私のところへ電話をかけてきた」プロデューサーのフランス人、M氏が語る。「“日本の力になりたいの。必ずいくから私たちを信じて”と言い、キャンセルのおくびにも出さなかった」ピアニスト。彼女は毎年この舞台に立ち、フォルジュルネを支えてきた一人でもある。フランスではとても知名度のあるソリストであり、パリ音楽院の教授でもある。
 演奏のあと本人に問うと、「この催しは常に特別なものだと考えてきた。しかし今年はさらに重く特別な年になるだろう。音楽は言葉や映像で現せないものを伝えることがある。人と人とのつながりを象徴しているからだ。その場に、私はその触媒として存在しできることを幸いに思う」。

 「私たちは北米ツアーの最中にこの惨事を知った。写真や報道、資料などを取り寄せ、日本の状況を知ろうと務めた。このイベントには参加することになっていたし、われわれの友情を信じてほしいとM氏に電話したんだ」
チェコから来たグループのリーダーの言葉。

 都響が鎮魂のために「G線上のアリア」を弦楽合奏で奏でる。あまりにも美しく、心の中にそっと染みとおる音楽。「終わったあとは拍手をせずに黙祷してください」そういった演奏会が最近、時々、ある。静かに祈ることが届けばいいなと思った。
                     ・・・
 あの日のあと。私は別に何事もなく日々を送っていた。仕事が忙しかったし、怒るのと開き直るのに忙しく、またやるべきことはそれなりにあったので、動揺することも慌てることもあまりなかったから。
 ただ久しぶりに足を運んだコンサート会場で、ふだん顔だけ見知った人々が一同に会場を埋め、またそうでない聴衆が音楽を求めて集まり、舞台の上では珠玉の音楽が演奏された日に。涙がぼろぼろ溢れて止まらなかった……これはまだ今でもそうで。
 この日も何故、ブラームスのハンガリー舞曲など聴いて泣かなきゃならんのだ、、、と思いながら、溢れる涙を止めようとも思わなかったし、皆が促されて老若男女が歌うブラームスの子守唄も気恥ずかしくなかったのは何故だろうな、と思うわけです。

 感情が動く、というのは悪いことではない。
 そういえば、このイベントでは、会場各所に義捐金の箱を設けるだけではなく、中庭ではいつもの出店に加えて、東北地方や北関東からの直販の野菜・酒その他の生産物の販売も行なうそうです。罹災し、東京へ避難してきている人たちも販売に加わっているということなので、楽しんで、笑って、お金を使って。皆、幸せになれればいいですね。
 5月5日はヤマパやら幕張メッセへ行かれる方も多いでしょうが、もっと気楽に、もしくはご家族でふらりと、無料コンサートだけでもよいじゃないですか? 立ち寄ってみてはいかがでしょう。有楽町駅と東京駅の間にあります。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック