tit:龍の棲む20 [回天-開戦前夜]
龍の棲む 【回天-開戦前夜】
= 1 = 戦闘空域へ
= 2 = ワープアウト
= 3 = 初陣
= 4 = 邂逅
= 5 = 救出・1
= 6 = 拉致
= 7 = 救出・2
= 8 = 救出・3
= 9 = 再び
= 10 = 作戦始動
= 11 = 合流
= 12 = 怪我
= 13 = 隠された宙港
= 14 = 潜行
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
:14章/続き:
「――艇長、古河さんから通信が!」
「つなげ」
古河からの二度目の連絡は、脱出成功を知らせるものだった。
だが、その“成功”は。
「なにぃっ!? 敵の戦艦に乗り込んだ、だとっ!!」
下野が裏返った声を上げたほど、艦橋は騒然とした。
古代守は何も言わず、表情も変えなかったが、
(そんなところだろう――)
その程度には父を理解(わか)っている。
基地内に残った、ということは、当初の命題を解決するためなのだ。
敵の正体を知り、内戦を鎮圧し、戦いが銀河系外……地球勢力圏外へ飛び火することを防ぐ。
1人の人間――1艦隊に背負わせるには、あまりに重い使命だった。
古河たちイサス部隊が援護し、進たちアクエリアス部隊が先行した。
特攻隊は4名、皆、頼りにはなるが若い部下たちだった。
守にとっては多少の先輩に当たるがほぼ同年代だ。
せめて古河が付いていてくれたら――そう思わないでもない。
『古代艇長――守。……よく聞いてくれ』
一瞬の思いはその声で途切れた。
『――艦長は、怪我をしている。短期間で決着を付けないと、マズい』
「なにっ!」「本当ですかっ」――航(わたる)が操縦桿を握ったまま反応した。
『航――アリオスが指揮を執れ。――われわれはガタイがデカすぎる。先行して追えるか』
「艇長――航海長。敵艦隊が集結しています……」
そのタイミングを計ったように、通信士がその姿を捉えた。
守はぐっと拳を握り締めた。
「――アクエリアスへ連絡。眞南さんを呼んでくれ。補給艦2X3W――後方にいるな。接舷してエネルギーを供給。そののち、海峡封鎖を」
「了解!」「――艇長、アクエリアス、出ました」
守は動けないでいるアクエリアスに自身の艦隊の補給エネルギーを送るよう指示すると、
「眞南さん――司令は私たちが助けます。包囲網を――お願いします」
『――守くんか。助かる……委細了解した。艦長たちを、頼む』
守は頷き、全艦隊へ声を発した。
「アリオスはこれから攻撃に移る。先鋒はアリオスとイサスの2艦――3番艦以下、アクエリアスの指示に従え」
アリオス艦はゆっくりと、前方の岩塊の間を縫うように、その小惑星と、それを囲むように発進してきた艦隊へ向かっていった。
(= 15 = へ続く)
= 1 = 戦闘空域へ
= 2 = ワープアウト
= 3 = 初陣
= 4 = 邂逅
= 5 = 救出・1
= 6 = 拉致
= 7 = 救出・2
= 8 = 救出・3
= 9 = 再び
= 10 = 作戦始動
= 11 = 合流
= 12 = 怪我
= 13 = 隠された宙港
= 14 = 潜行
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:14章/続き:
「――艇長、古河さんから通信が!」
「つなげ」
古河からの二度目の連絡は、脱出成功を知らせるものだった。
だが、その“成功”は。
「なにぃっ!? 敵の戦艦に乗り込んだ、だとっ!!」
下野が裏返った声を上げたほど、艦橋は騒然とした。
古代守は何も言わず、表情も変えなかったが、
(そんなところだろう――)
その程度には父を理解(わか)っている。
基地内に残った、ということは、当初の命題を解決するためなのだ。
敵の正体を知り、内戦を鎮圧し、戦いが銀河系外……地球勢力圏外へ飛び火することを防ぐ。
1人の人間――1艦隊に背負わせるには、あまりに重い使命だった。
古河たちイサス部隊が援護し、進たちアクエリアス部隊が先行した。
特攻隊は4名、皆、頼りにはなるが若い部下たちだった。
守にとっては多少の先輩に当たるがほぼ同年代だ。
せめて古河が付いていてくれたら――そう思わないでもない。
『古代艇長――守。……よく聞いてくれ』
一瞬の思いはその声で途切れた。
『――艦長は、怪我をしている。短期間で決着を付けないと、マズい』
「なにっ!」「本当ですかっ」――航(わたる)が操縦桿を握ったまま反応した。
『航――アリオスが指揮を執れ。――われわれはガタイがデカすぎる。先行して追えるか』
「艇長――航海長。敵艦隊が集結しています……」
そのタイミングを計ったように、通信士がその姿を捉えた。
守はぐっと拳を握り締めた。
「――アクエリアスへ連絡。眞南さんを呼んでくれ。補給艦2X3W――後方にいるな。接舷してエネルギーを供給。そののち、海峡封鎖を」
「了解!」「――艇長、アクエリアス、出ました」
守は動けないでいるアクエリアスに自身の艦隊の補給エネルギーを送るよう指示すると、
「眞南さん――司令は私たちが助けます。包囲網を――お願いします」
『――守くんか。助かる……委細了解した。艦長たちを、頼む』
守は頷き、全艦隊へ声を発した。
「アリオスはこれから攻撃に移る。先鋒はアリオスとイサスの2艦――3番艦以下、アクエリアスの指示に従え」
アリオス艦はゆっくりと、前方の岩塊の間を縫うように、その小惑星と、それを囲むように発進してきた艦隊へ向かっていった。
(= 15 = へ続く)
【短くてごめんよ:>>連載 Nr.20】
◆ ◆
すみません、短くて。
14章はもう少し長い予定だったんですが、古代・父の方の話を進めたくなったので、アリオス艦内はちょろっとお見せするだけになってしまいました。
15章は。。。さていつ書けるやら。
もうしばらく、お待ちくださいませ(_ _)
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すみません、短くて。
14章はもう少し長い予定だったんですが、古代・父の方の話を進めたくなったので、アリオス艦内はちょろっとお見せするだけになってしまいました。
15章は。。。さていつ書けるやら。
もうしばらく、お待ちくださいませ(_ _)