甘い二十>No.18・2(出張Up)
古代進のイメージによる「少し甘い二十之御題・出張Up」shingetsu版
【18:僕を叱って】・1/・2/・3/
☆オリジナル・キャラクターが登場しますので、ご自身の「ヤマト」のイメージを壊されたくない方は、速やかにお引取りください☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
= 2 =
「司令――」
その部屋には、2人きりだった。
古代進は手元のスイッチを操作すると、怒りに燃える次男坊を突き放し、こっそりとため息をついた。
声が静かに追いかける。
「古代司令……あれでは彼は。聖樹は、納得しないでしょう」
「――守……いや艇長。仕方あるまい。いつかわかるときが来る、と思うしかない」
「司令――」
広い部屋に居るのは古代進と、そのもう一人の息子である長男の古代守だった。
古代は顔を上げて守を見る。
「――だが、聖樹の態度は、どの角度からみても正しくはない」
「もちろん、そうです」
守は突き放されなかったことに力を得て、父に少し近づき、まっすぐ見つめた。
秩序と階位――2人きりでいても、防衛軍に奉職してからの親子は親しみを職場で示すことはない。必要以上に慇懃に振舞っているといってもよいだろう。それが互いの身を護り、規範を守ることにもつながるからだ。
だが守は、その無言のコミュニケーションを取るにはまだ幼いともいえる弟と、父の“うまくいかなさ”にも心を痛めている。
(父さんと聖樹は、似すぎているのだ――)
その思いもある。
「しかし、聖樹はあれでは、、、」
古代は無表情のまま息子を見た。
「――君は、努力し、経験を積み、そうして地位と責任を得て、ここに居る。違うか?」
古代の言う言葉は厳しいが声音は柔らかい。お気に入りの息子・守には、これまでも父親のくせに、いろいろ助けられてきた。それがこの古代守という青年の美質でもある。
「はい。……そう仰っていただけるなら」古代守は胸の前に手を上げて敬礼をした。
「――だからそれらを知り、責任を分かち合い、方法も理解している。そうだろう」
「はい」
「だが、聖樹にはまだその資格もなく、権利も――そして義務もありはしないのだ」
「それは……ですが、司令」
せめて此処にお呼びになって、諭されては。
「特別待遇は、できない――」
冷たい横顔だった。
「――彼は。聖樹は、叱って貰いたいのかもしれない」
え、と古代進は、その言葉が胸に響いた。
「僕を叱ってほしい、と、そう願っているのかも……しれない」
「守――」思わず、言葉が零れた。
可哀相な、子。何を求め、誰の手に導かれるのか。
そうして古代進は、自分が訓練学校の下級生だった時代の。兄・守とのことを思い出していた。
(= 3 = へ続く)
【18:僕を叱って】・1/・2/・3/
☆オリジナル・キャラクターが登場しますので、ご自身の「ヤマト」のイメージを壊されたくない方は、速やかにお引取りください☆
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= 2 =
「司令――」
その部屋には、2人きりだった。
古代進は手元のスイッチを操作すると、怒りに燃える次男坊を突き放し、こっそりとため息をついた。
声が静かに追いかける。
「古代司令……あれでは彼は。聖樹は、納得しないでしょう」
「――守……いや艇長。仕方あるまい。いつかわかるときが来る、と思うしかない」
「司令――」
広い部屋に居るのは古代進と、そのもう一人の息子である長男の古代守だった。
古代は顔を上げて守を見る。
「――だが、聖樹の態度は、どの角度からみても正しくはない」
「もちろん、そうです」
守は突き放されなかったことに力を得て、父に少し近づき、まっすぐ見つめた。
秩序と階位――2人きりでいても、防衛軍に奉職してからの親子は親しみを職場で示すことはない。必要以上に慇懃に振舞っているといってもよいだろう。それが互いの身を護り、規範を守ることにもつながるからだ。
だが守は、その無言のコミュニケーションを取るにはまだ幼いともいえる弟と、父の“うまくいかなさ”にも心を痛めている。
(父さんと聖樹は、似すぎているのだ――)
その思いもある。
「しかし、聖樹はあれでは、、、」
古代は無表情のまま息子を見た。
「――君は、努力し、経験を積み、そうして地位と責任を得て、ここに居る。違うか?」
古代の言う言葉は厳しいが声音は柔らかい。お気に入りの息子・守には、これまでも父親のくせに、いろいろ助けられてきた。それがこの古代守という青年の美質でもある。
「はい。……そう仰っていただけるなら」古代守は胸の前に手を上げて敬礼をした。
「――だからそれらを知り、責任を分かち合い、方法も理解している。そうだろう」
「はい」
「だが、聖樹にはまだその資格もなく、権利も――そして義務もありはしないのだ」
「それは……ですが、司令」
せめて此処にお呼びになって、諭されては。
「特別待遇は、できない――」
冷たい横顔だった。
「――彼は。聖樹は、叱って貰いたいのかもしれない」
え、と古代進は、その言葉が胸に響いた。
「僕を叱ってほしい、と、そう願っているのかも……しれない」
「守――」思わず、言葉が零れた。
可哀相な、子。何を求め、誰の手に導かれるのか。
そうして古代進は、自分が訓練学校の下級生だった時代の。兄・守とのことを思い出していた。
(= 3 = へ続く)