"夜明け前"・1-02
夜明け前 -before dawn-
【プロローグ:西暦 2195年】
00 prologue・・・新入生
【第一章】(2007-06)
01 入寮
02 食堂01
03 食堂02
04 入学式
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【ニ.食堂 01】
食堂へ向かいながら、2人は互いの情報を交換した。
「古代はどこから? 俺はメガロポリス東区の黎明ジュニア出身。適正検査受けたらさ、
向いてるってことになって。もともと宇宙(そら)飛びたかったしね、まぁこんな時代だし」
明るく言い放つ島大介の目に憂いはない。
進はどう答えようかと迷った。
「ぼく――俺は、三浦半島のA村」
…遊星爆弾でやられちゃってね。
という科白を進は呑み込んだ。そして、これだけ言った。
「ちょっとあって…入院してたんだ」
え、と大介は足を止めた。
――それじゃぁ…。
何か、気づいたかな――。
両親も、親戚も――皆、居ないよ。――死んだんだ、爆弾(あれ)で。
言ったわけではない。
進はそのまま黙った。
こくりと頷いた大介は――そしてそれ以来、後々までそのことに触れることはなかった。
- ☆ -
そういえばさ。
俺たち最年少だぜ――。
どこからそういうことを知ってくるのか、料理を摂るためのトレイをほい、と
渡してくれながら大介は耳打ちするようにそう言った。
「中学新卒って何人かいるらしいけどね――半分くらいは転属か民間からだって。
高校からもいるみたい」
「へぇ、そうなの…」
進はわりあいそういうことはどうでも良かった。
高校を卒業して、ある程度の学力があれば、防衛軍訓練学校――つまり、兄の卒業
した学校へ入ることは、此処へくるためにいろいろ調べた進も知っていた。
そして、現在は旧防衛大に当たるその機関が休校状態にあるということも。
要するに、非常時である。
――高校からの編入は此処、併設された少年宇宙戦士訓練学校の新入生となるらしい。
だけど。
大人の中か――そんな思いもある。
俺たち同い歳なんだよ――まぁ俺の方が半年お兄さんだけど?
いたずらっぽい目を輝かせながら、島大介はそう言った。
- ☆ -
「おっ、学年1番と次席がお揃いだなっ」
でかい声がして、見るとガタイの大きさが目立つ男が目の前に立っていた。
いいか、ともいわず、大介と進のテーブルにどっかり座り込む。
それに続いてぱらぱらと2~3人が囲んできた。
「邪魔するよ」「僕らも新入生なんだ」
「俺は、加藤三郎。こいつは」
「鶴見二郎だ」
「吉岡英(すぐる)」
「九重ここのえ隆一」
わいわい、と囲まれて目を白黒する進と大介。
「俺たち四人部屋なんだぜー」「ひいきだよな」
「うるさいから集められたとか?」
「皆、飛行機乗り志望だ」「お前らは?」
あ、あぁ――と進は大介と目を見合わせた。
喉に食べ物詰まっちゃいそう。
「古代、進――」
「島大介だ。よろしくな」
チビで年下はわかってるのに、それに臆せず、すでにツルんでいるらしい
そいつらを真っ直ぐ見返すと、穏やかな口調で大介はそう言った。
内心、進は――こいつ、ただもんじゃない。そう思った。
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02 食堂01
03 食堂02
04 入学式
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【ニ.食堂 01】
食堂へ向かいながら、2人は互いの情報を交換した。
「古代はどこから? 俺はメガロポリス東区の黎明ジュニア出身。適正検査受けたらさ、
向いてるってことになって。もともと宇宙(そら)飛びたかったしね、まぁこんな時代だし」
明るく言い放つ島大介の目に憂いはない。
進はどう答えようかと迷った。
「ぼく――俺は、三浦半島のA村」
…遊星爆弾でやられちゃってね。
という科白を進は呑み込んだ。そして、これだけ言った。
「ちょっとあって…入院してたんだ」
え、と大介は足を止めた。
――それじゃぁ…。
何か、気づいたかな――。
両親も、親戚も――皆、居ないよ。――死んだんだ、爆弾(あれ)で。
言ったわけではない。
進はそのまま黙った。
こくりと頷いた大介は――そしてそれ以来、後々までそのことに触れることはなかった。
- ☆ -
そういえばさ。
俺たち最年少だぜ――。
どこからそういうことを知ってくるのか、料理を摂るためのトレイをほい、と
渡してくれながら大介は耳打ちするようにそう言った。
「中学新卒って何人かいるらしいけどね――半分くらいは転属か民間からだって。
高校からもいるみたい」
「へぇ、そうなの…」
進はわりあいそういうことはどうでも良かった。
高校を卒業して、ある程度の学力があれば、防衛軍訓練学校――つまり、兄の卒業
した学校へ入ることは、此処へくるためにいろいろ調べた進も知っていた。
そして、現在は旧防衛大に当たるその機関が休校状態にあるということも。
要するに、非常時である。
――高校からの編入は此処、併設された少年宇宙戦士訓練学校の新入生となるらしい。
だけど。
大人の中か――そんな思いもある。
俺たち同い歳なんだよ――まぁ俺の方が半年お兄さんだけど?
いたずらっぽい目を輝かせながら、島大介はそう言った。
- ☆ -
「おっ、学年1番と次席がお揃いだなっ」
でかい声がして、見るとガタイの大きさが目立つ男が目の前に立っていた。
いいか、ともいわず、大介と進のテーブルにどっかり座り込む。
それに続いてぱらぱらと2~3人が囲んできた。
「邪魔するよ」「僕らも新入生なんだ」
「俺は、加藤三郎。こいつは」
「鶴見二郎だ」
「吉岡英(すぐる)」
「九重ここのえ隆一」
わいわい、と囲まれて目を白黒する進と大介。
「俺たち四人部屋なんだぜー」「ひいきだよな」
「うるさいから集められたとか?」
「皆、飛行機乗り志望だ」「お前らは?」
あ、あぁ――と進は大介と目を見合わせた。
喉に食べ物詰まっちゃいそう。
「古代、進――」
「島大介だ。よろしくな」
チビで年下はわかってるのに、それに臆せず、すでにツルんでいるらしい
そいつらを真っ直ぐ見返すと、穏やかな口調で大介はそう言った。
内心、進は――こいつ、ただもんじゃない。そう思った。
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