萬斎さん
確かに、ある季節(時代、ともいう)、一種のブームのように、哲学チックにいろいろ語られた時代もあったし、またそうやって芸術やら文学やらが、そういう遡上に乗った時代もあった。
で、現在はどうかというと、確かに「理論武装」しないと成立しない現代音楽も多いし、彼らアカデミックなことをやっている作曲家たちのアイデンティティはどこに立脚点を持つかという問いを常に迫られる存在だ。
私は現代音楽「も」好きだけれども、音をいじって遊ぶようなものは大嫌いだ。音楽は、演奏されて初めて意味を持つわけだし、多くの作品が、「初演はされるが再演されない」価値しか持たない。膨大な中から、より優れたものが生まれて、消費され、消えていく。
あれ? これって何かに似てない???
そうなんです。現代音楽もCM音楽も、映画音楽もテレビドラマの音楽も一緒だよ。
「良いもの/ダメなもの」の二種類しかない。。。と私は思っている。
加えてワタクシ、西洋音楽を勉強していた頃から、日本の文化・文芸には興味を持っていた。
普通の日本人にとって、どちらが入りやすいか、というと、意外なことに西洋音楽の方が入りやすいのである。駅前のどこにでも教室はあるし、ピアノやヴァイオリンの方が購入も楽だし、先生もみつけやすい。テレビで流れているのは、全部そっちの音楽である。
和モノへの入り口、って本当に、ないのですよね。
本当は、鼓か舞をやりたかった。そういった意味で、能楽師や狂言師などの役者さんたちは憧れの存在で、また凄いなと思い続ける。(歌舞伎はもう別世界なので、見て・聴いて楽しく、さすがに自分でやりたいとか思わないので)
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現代音楽と、舞。
世田谷パブリックで、現代音楽の最高峰ともいわれる、アルディッティ弦楽四重奏団と野村萬斎さんのコラボレーションが行われ、なんとかチケットを手に入れて見聞きしてきた。
すごすぎ。
アルディッティSQは何度かお話をしているし、今回も一度会っていたりするのだけれども、実は萬斎さんの生の舞は、いつ以来だろう? 子役で出てらした頃以来かな?
様々なシーンで拝見することが多いので、さほども思わなかったのだが、やっぱり生の舞台はすごいですね。発する気もだけども、音の捉え方や、身体の、隅々までの計算し尽くされた動き、ユニークな表現。まさに「天才」と申し上げたい方である。
ということで、世田谷パブリックはとても好きな舞台でもあり、素敵な一夜であった。
そういえば、ものすごく久しぶりに師匠にも会った、、、館長さんでしたね(^_^;)えへへ。