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2012_09
19
(Wed)20:04

影響を受けること。

 いま、私の周りのネットワーカーたちは、関西の文楽問題に結構、注目(などというレベルではないが)している。私もこれまでアノ人をそれなりに評価していたのだが、ここのところの阿呆ぶりには、ちょっと呆れるを通り越して、ヤバいんじゃないかと思っているからだ(ここのところ=半年くらいね。もうだいぶなります)。

 文化、というのは金がかかるんだから、余裕のあるやつだけが勝手にやっていればよろしい。エンターテインメントとして金を稼ぎなさい、補助なんて宛てにしてないでさ。
 というのがいつの時代も言われるレトリックであったりする。
 しかし、そうか? もちろん、「伝統」の名に胡坐をかいてはいけない。現に、そうやって腐っている現場も、どことはいわないがあったりする。他のジャンルからしてみれば「いーよねーあそこは。自分でもう少し努力したら?」と思うのも筋だよなというのもあり。
 だから、二つほど前のアーティクルで書いた、野村萬斎さん一族の、現代の努力なんかは私は手放しで褒めちゃうもんね。もちろん才能がないと、できることではない、というのも一理あるけれども。

                 ・・・
 今日、こんなこと書こうと思ったのは、それがメインではない。
 仕事場に、夕方、一通のfaxが届いたからだった。

 ピアニストのユンディ・リが来日中止になった。

 名前でわかるように、彼は中国人である。だが、日本とのかかわりも深く、人気もあり、実力もつけてきている中堅のピアニスト。30歳をツアー中に迎えるはずで、今回は、いろいろな意味で気合が入っていたこと、業界の人間として聞いてもいた。
 現にワタクシ。チケットを持っております。
 実際は、その日、別の仕事が入って行けなくなり、「今、この時のユンディくんは是非聴いておきたい(涙)」と思いながらもオトモダチに譲ってしまったチケットではあったのですが、それが、来日中止。渡航の2日前、というギリギリだった。

 faxは、コンサートチケット関係会社からの速報。
 そうして、招聘会社のウェッブへ飛んで「News」を見て、理由がわかった。
 一部引用してみたい。
 途中は、端折る。

>尖閣諸島問題の影響により、中国政府から訪日を見合わせるようにとの行政指導を受け、来日が出来なくなりましたため、日本ツアーを中止させていただくことになりました。
>(中略)
>弊社としましては、【文化は政治の諸問題とは切り離してとらえ、またこのような時にこそ日中間の文化交流をはかり予定通り来日公演を果たせるように、在日中国大使館をはじめ関係の方々に協力要請および交渉を続けてまいりました】が、中国政府の方針が現時点においても変わることはなく、またその方針がいつ解除されるかの見通しもたたないため、残念ながら9月22日~10月21日までの日本公演を中止させていただくこととなりました。
>

 1か月ものツアーである。準備もさぞや大変だっただろう。
 このあとに続く文面からは、招聘会社・担当者の悔しさも伝わってくる。
 ゆんでぃ君が来たからといって、歓迎はしても石投げたりしませんって、日本の音楽関係者は。ホテルで待ち伏せして拉致したりもしないと思うぞ。
 どーしてこうなる。

 こうなると、翌月に迫る「アジア・オーケストラ・ウィーク」も心配ではあるが、これは1日だけ。韓国のモッポ市のオーケストラが来ることになっているけれども。
 中国と韓国は似ているようでまったく異なる気質を持っている。
 韓国でお莫迦なのは、現在のところ×××がメインのようなので(まぁ国民感情というのはあるでそうが)。

 何度も書いたと思うけども、文化を踏みにじるようなのは、ダメなのよ。文化がエラいわけじゃなくて、そういう心持とか方向性って、言論・思想統制へ向かっていく。海外とのルートを絶ち、孤立・経済統制へ向かっていく、ということは歴史が証明しとるんだわね。

 「戦争の反対語は平和ではなく、【文化】だ」とワタシの師匠が教えてくれた言葉は、今も胸に刻んどりますわ。
 映画でも、デザインでも、なんでもいいんですけどね。
 作り上げたもの、伝え続けられるもの、共有できる楽しみ。こういうものを無視しはじめると、怖いですよね。

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