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2013_02
25
(Mon)10:49

炎熱商人たち。

 最近、コンサートが終わったら時々飲むようになった人がいる。昨年、仕事で知り合って話が合い、結構、演奏会などご紹介したり、終わったあと呑みに行ったりするようになった。たいていは3~4人で集まるのだが、先日は3人。舞台の上に乗っかっていた人と、客席にいた人とで、終演後、軽くお食事(3人とも翌日が早かったり仕事に戻らなければならなかったりしたのだが、まぁ、それはそれ。軽くつまんでワインを呑み呑み)。

 昔、渡辺謙主演(だったと思う)で、『炎熱商人』という映画があった。諸外国の未開発地域を渡り歩き、開発・営業のビジネスに携わる男(<だったと思うけど、、、うろ覚え)。中の一人は、ま、そういう人である。まぁ営業屋さんではなく、企画部署にいたり、年齢的に私と同年代、つまり会社の中ではそこそこエラいので、汗を拭き拭き現地を歩き回ったりはしないのだが。

 自分は転勤族だが、父親が大学出、というわけではなかったので、転勤は国内に限られた。あの時代、商社にでも勤めない限り、そうだったろう。だけど同年代の仲間たちはほとんどが一度や二度は外国の赴任地暮らしを経験している。そのたびに、どちらの仕事をどうするか、子どもの進学問題は、その他、様々に大変であるね。

 話が飛ぶが。
 呑みながらその日の演奏の話とか指揮者の話とか。あーだこーだ言ってる中で、舞台に乗っかってた人が突然、言い出した。「そういえば、御社ってN社とはつながり深いんじゃないんすか」。
 N社=先般、アルジェリアで襲撃に遭い、幹部・現地職員の多くが亡くなった企業である。あれは燃料プラントの企業であり、インフラを担う。ちなみに、この方は石油なので、当然、深いつながりがあるわけだ。
 そうなんですよー、と曰く。

 あの事件の翌日も、普通に電話で話していたらしい。もちろん、仕事の話。どう言ったらよいかわからない中、「誰もビビッてないのがすごい」と言っていた。「僕ら、ビビります。やっぱり怖いですよ」……その彼は来月、イラクへの出張を控えている。数日間の滞在の間、ボディガードを雇い、防弾チョッキをスーツの下に着ての移動なのだそうだ。移動の車は前後を重装備のガードが堅めて、その真ん中を走るという。
 イラクという国は、日本という国がさほど印象の悪い国ではない。これは彼らの行く東南アジアの各国、タイやマレーシアなどでも同じで、あとは台湾。特に中国と国境の近い国・関係の深い国は、新日感情が強いのだそうだ(理由は書かないが、推測してくれたまへ)。

 実際、いつ起こっても不思議ではない、ということから分厚いマニュアルが彼の会社にもあるらしい。彼自身も、砂漠の国で数年間、赴任した経験を持っていて、英語だけでなくアラビア語も話せるのだ。(文化風習の違いについての興味深い話はけっこう聞かせて貰っているけど、これはまたそのうちネタになれば・笑)

 プラントにしろ石油にしろ、国家企業である。国のインフラを支える、という意味では、日本のものもそうであるし、その現地の国にとっても、大切なものだ。実際に、彼らの現地での信頼度は非常に高いのだそうだ。……こういう人たちに、この小さな島国は支えられているのだなーとしみじみ思う。返す返すも、失われた人々が残念だし、悲しいし、目の前の人も無事に帰ってこいよーと思わず言ってしまいますね。

 彼らのビジネス=目的そのものがテロの標的だから。腹くくるしかない、んだそうな。定年まで無事勤め上げて音楽三昧で平和に暮らしたい、というが、そういう現場に身を置くことを「仕事ですから」と淡々としている。そういうものなんだろうなぁと思う。確かに「仕事ですから」という気持ちはわかるな。

 演奏家氏の方も、実は、東西の壁がまだあった頃に、東側に留学していた(芸術は主義主張も超えるところもあるし、実際、壁の向こう側の方が、クラシック音楽のレベルも高く歴史もあったのである)。そういうところから、日々のニュースを見ても、ちょっと見方が変わってしまうのだと言っていた。

 大抵のことには柔軟なつもりだが、やはりこういう話を聞くと、すごいなーと思うのだ。しなやかに、強く。でも、ストレスは多いそうです、仕事相手が政治家とか官僚さんとかだからな(^_^;)。

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