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2014_09
13
(Sat)23:01

紀尾井ホールにて。

 昨日はよい演奏会だったので、すこぶる満足して紀尾井ホールを後にした。
 コンサートの感想はあんまり書かないことにしているんだけれども、なりゆき上、どこに書くでもないので、ここに書いておこう。

 クラシック/現代音楽 の曲は、純粋に作曲家のイマジネーションの発露として作られるものと、演奏する対象を前提に書かれるものとが半々だが、芝居やダンスでもこれは同じで、私はどちらかというと後者の方が好きだ。芝居の世界で言う「アテ書き」というやつですね。
 ヤマトの旧作の最初のものは、最初はもちろんプランナーのものであったけれども、後半はキャラクターに現場で肉付けがされていって、ほとんど声優さんイメージのアテ書きに変化していったと聞いたことがある。「この作品の●●(役柄)を誰が演じる」と思って書くのと、そうでないのとでは、セリフ回しやキャラクターの言動に差が出てくるのは当然だろうと思うし、それが最初のヤマトをより魅力的にしたような気もする。
 ダンスの振り付けなどは当然、アテ書きだろうし、現代音楽の多くはそうではない。映画や芝居は半々かな。

 というわけで、私が感じたのは、新垣さんの曲は、川畠さんへの“アテ書き”で、彼が演奏することが前提に書かれていた。委嘱初演なのだから当たり前といってしまえばそれまでだけれども、学生時代から一緒に演奏し、彼のヴァイオリンの音や特徴をよく知って、またそれに演奏者も応えたがゆえの、素晴らしいクオリティでの演奏だったと思う。
 アカデミックかどうか、という意味では賛否両論はあるだろうが、まぁ言わせておけばよいと思う。
 きっと彼はこれを、MCで言っていたように、あちらこちらで再演し、さらに演奏し続けていくだろう。そうやって“変化していく”愉しみを持った曲だった。

 全曲無伴奏だったのに、そういった緊張感がなく、皆がリラックスして、しかも集中力高く演奏に聴き入っていた。特にイザイの無伴奏第5番は見事で、お得意のJ.S.バッハの間にはさまれて、確かな存在感を放っていたと思う。
 現代に生きる、個性的な実力派。川畠さんの底力を聴く想いだった。

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