blog連載:試験航海・1
え~と。
以前に、「不信感」という紗月が書き始めた島くんと女性乗組員の話をblog連載し始めてそのまんま~になっています。覚えてらっしゃる方もいらっしゃるようで、どうもすんません。
どうも、話が出来てしまうと、書く意欲のそそられるものと、「それでいっか」になってしまうものとが両極端のようで。この話の中の島くんが、どうも今の綾乃の心境にfitしない部分が多くて、そのまんま…いつか続きは書くでしょうけど、話はもうイスカンダルまで行っちゃってるしな…の綾乃であったりします。
・・・
さて、某所で連載をしていて、以外に好評だった、「お遊びシリーズ」の連載をこっちでもやってみようかなと思います。本当はこれ、「2006年お題No.31・試験航海」 という、れっきとした三日月/新月短編なのですが、あまりにも長くなってしまったし、毎度場面が変わるので小連載も良いかなとゆーことになった。
実は、「オール・キャスト登場/皆で元気に行きましょう」な、完全にお遊び企画なわけですよ。まぁそりゃ綾乃のことだし、遊びったってシビアになってしまうのは外せないわけなんですが。
さらにオールキャストといっても三日月-新月本編設定ですから、島くんは死んぢまってるし、加藤や山本ももちろんだし、ユキは子ども生まれたばかりで乗ってないし、うちのオリジナル・キャラはわんさと出てるし…っていう収集つかない(こともないけど)話なんですが。とりあえず、第一部、みたいな区切りまではぼちぼち書いたので、よろしければ今日からちまちまとアップしていきます。ちなみに12回くらいで第一部終了予定です。
(以下、完全に三日月設定)
時は西暦2205年。ヤマトが水惑星アクエリアスからの水の帯から地球を守ってその氷の中に沈んで1年と少し。地球防衛軍の新造戦艦は、古代進が艦長として統べる防衛軍外周艦隊旗艦になるはずのものである。(このあたりの顛末は、佐々葉子・家庭の事情編 「タバコ」 に詳しいです)…で、これは就航前のテスト航海の10日間の話。
二次小説です。うちサイトのオリジナル設定です。わんさかオリジナル・キャラクタが駆け回ってます。さらに新人も出ます。
それでもよろしければ、第1回、どうぞ↓
以前に、「不信感」という紗月が書き始めた島くんと女性乗組員の話をblog連載し始めてそのまんま~になっています。覚えてらっしゃる方もいらっしゃるようで、どうもすんません。
どうも、話が出来てしまうと、書く意欲のそそられるものと、「それでいっか」になってしまうものとが両極端のようで。この話の中の島くんが、どうも今の綾乃の心境にfitしない部分が多くて、そのまんま…いつか続きは書くでしょうけど、話はもうイスカンダルまで行っちゃってるしな…の綾乃であったりします。
・・・
さて、某所で連載をしていて、以外に好評だった、「お遊びシリーズ」の連載をこっちでもやってみようかなと思います。本当はこれ、「2006年お題No.31・試験航海」 という、れっきとした三日月/新月短編なのですが、あまりにも長くなってしまったし、毎度場面が変わるので小連載も良いかなとゆーことになった。
実は、「オール・キャスト登場/皆で元気に行きましょう」な、完全にお遊び企画なわけですよ。まぁそりゃ綾乃のことだし、遊びったってシビアになってしまうのは外せないわけなんですが。
さらにオールキャストといっても三日月-新月本編設定ですから、島くんは死んぢまってるし、加藤や山本ももちろんだし、ユキは子ども生まれたばかりで乗ってないし、うちのオリジナル・キャラはわんさと出てるし…っていう収集つかない(こともないけど)話なんですが。とりあえず、第一部、みたいな区切りまではぼちぼち書いたので、よろしければ今日からちまちまとアップしていきます。ちなみに12回くらいで第一部終了予定です。
(以下、完全に三日月設定)
時は西暦2205年。ヤマトが水惑星アクエリアスからの水の帯から地球を守ってその氷の中に沈んで1年と少し。地球防衛軍の新造戦艦は、古代進が艦長として統べる防衛軍外周艦隊旗艦になるはずのものである。(このあたりの顛末は、佐々葉子・家庭の事情編 「タバコ」 に詳しいです)…で、これは就航前のテスト航海の10日間の話。
二次小説です。うちサイトのオリジナル設定です。わんさかオリジナル・キャラクタが駆け回ってます。さらに新人も出ます。
それでもよろしければ、第1回、どうぞ↓
【試験航海-アクエリアス就航】
1.
------------------------------------------------------------
「さて、久しぶりだ。いっちょ、行きますか!」
南部康雄が振り返って左手の拳骨で右掌を叩き、皆を見上げた。
「おうっ。いつでもこい、ですよ」と相原が珍しく気鋭を上げる。
片手を上げて太田が合図し、真田がニヤリと笑った。
――「行けます」
そんな中、少し緊張気味に艦橋中央の大きなテクタイト・グラスの前に位置を占めている航海士・北野哲は、先輩たちに囲まれ、まるで自分が新人に戻ったような気分になっていた。艦長・古代進の声が静かに響く。
「北野――準備いいか」
「はい。山崎機関長、エネルギー値は」
艦長席の右手下から落ち着いた声が返る。
「充填、80%……85、90…100……110」
よしと古代がうなずいた。
「アクエリアス、発進、15秒前――」
「15秒前」北野が復唱する。
「10秒前…8、7、…5…3、2、1」
「戦艦アクエリアス、発進!」
「発進しますっ」
ぐっと操縦桿が引かれ、戦艦アクエリアスの巨艦はぐぐっと艦首を持ち上げた。注水された水中ドッグが開き、周りの景色が変わっていく。
「主砲、一応、発射準備しておけよ――エネルギー充填」
と南部に向かい「…まぁ発進しながら発射することは、地球圏では当分ないだろうけどな」と古代は口の中でそう言い、
「あってもらっちゃ困ります。そのための地球絶対防衛圏なんですからね」と、そのシステム構築を指揮した南部が言い、相原が大きく頷いた。
「微速前進、0.6――いや、訂正。0.7に上げてください」
北野が山崎に指示を送った。
「ヤマトより随分軽い――」思わず口に出していた。
(通常型の輸送艦よりは、だいぶ重いな)
北野がふだん乗艦しているのは輸送艦《あさかぜ》である。
もちろん輸送艦と戦艦では、重量やパワーが全く違う。
(数年前に一度、操舵しただけのヤマトの感触なんて、よく憶えていたな)
古代はその北野をみやって1人思った。
その背に、つい重なってくる面影がある。
(――島……)
その親友が逝ってまだ2年は経っていない。普段は押しやっているものだったが、このシチュエーションでそれを思い出すな、という方が無理である。
北野の上に、その面倒をみていた親友の姿がかぶり、その安定した運行もまた、島の置き土産――もちろん北野の努力もあったが――ともいえた。
艦橋の様子はまったくといってよいほど違う。洗練されたフォルム、広い稼動範囲と、コンパクトな機械設計。それでありながらも様々な機能を搭載している。それは惑星探査や長距離航行、場合によっては単独で外惑星へ旅できる機能を持ったヤマトに準じて作られたものだ。
飛びながら改造を重ね、戻るたびに改造されていったヤマトと異なり、真田自身がイスカンダル科学のある程度の研究の成果を塔載した特別艦でもあった。
「真田さん――そっちはどうですか」
右手を見て技術班長として乗り込んでいる科学技術省副長官・真田に問いかける古代。
「あぁ――データはばっちり取っているから安心しろ。……砲塔の照準設定までの秒数もかなりスムーズだな」
南部がその言葉に頷いた。
「オートでもけっこうイケますよ。細かい微調整がきくかどうかとヒトの手に馴染むかどうかは、宇宙そとに出てからですね」と。
「外抵抗値はどうです?」太田が訊ねた。
「うん。まずまずだな……水中だろうが大気圏だろうが――宇宙や、相当濃い宇宙プラズマの中でも大丈夫なように設計されているはずだ」
真田の声は明るい。建造の最終責任者として緊張もあるのだろうが、また自信もある。
アクエリアスの艦橋で大きくヤマトと異なるのは主航海士席の位置と、艦長席の後部上方にコ・モニタ席が着いている処。これは、通信&オペレーションの補助席でもあり、場合によりここからオートで操艦すら可能である。
戦闘時のデータ処理に大きな能力を発揮する。だがそれぞれの指揮席の
位置はヤマトのそれに近い。必然、顔ぶれの相対的な位置も似た。
新設のコ・オペ席――此処には戦闘機隊長の加藤四郎が座っていた。
その配置が知らされた時、北野や土門は驚いたが。南部や相原はしゃら
りと、
「加藤はイカルスで真田さんの下にいたからな。下手な工作班や通信班より使えるぜ」と言った。
「まぁ自分で立ち上げたプロジェクトの結果だ、見届けたいだろうしな」
と艦長・古代が言うのに、
「配属されなかったんですからね、そのくらいは当たり前です」と、少しむっとした表情で四郎が言ったのは先輩たちの笑いを誘う。
「格納庫はいいのか」と南部が言うのに、
「佐々と宮本さんに任せてありますよ。オレが行く頃には仕事終わってますって」その2人の処理能力も一級である。
「坂本先輩さんもいるし」これは付け加え感無きにしもあらず。
「新人連中、ビビらなきゃいいけどな」と南部が言い、
「それもまた修行です」と加藤が返した。
1.
------------------------------------------------------------
「さて、久しぶりだ。いっちょ、行きますか!」
南部康雄が振り返って左手の拳骨で右掌を叩き、皆を見上げた。
「おうっ。いつでもこい、ですよ」と相原が珍しく気鋭を上げる。
片手を上げて太田が合図し、真田がニヤリと笑った。
――「行けます」
そんな中、少し緊張気味に艦橋中央の大きなテクタイト・グラスの前に位置を占めている航海士・北野哲は、先輩たちに囲まれ、まるで自分が新人に戻ったような気分になっていた。艦長・古代進の声が静かに響く。
「北野――準備いいか」
「はい。山崎機関長、エネルギー値は」
艦長席の右手下から落ち着いた声が返る。
「充填、80%……85、90…100……110」
よしと古代がうなずいた。
「アクエリアス、発進、15秒前――」
「15秒前」北野が復唱する。
「10秒前…8、7、…5…3、2、1」
「戦艦アクエリアス、発進!」
「発進しますっ」
ぐっと操縦桿が引かれ、戦艦アクエリアスの巨艦はぐぐっと艦首を持ち上げた。注水された水中ドッグが開き、周りの景色が変わっていく。
「主砲、一応、発射準備しておけよ――エネルギー充填」
と南部に向かい「…まぁ発進しながら発射することは、地球圏では当分ないだろうけどな」と古代は口の中でそう言い、
「あってもらっちゃ困ります。そのための地球絶対防衛圏なんですからね」と、そのシステム構築を指揮した南部が言い、相原が大きく頷いた。
「微速前進、0.6――いや、訂正。0.7に上げてください」
北野が山崎に指示を送った。
「ヤマトより随分軽い――」思わず口に出していた。
(通常型の輸送艦よりは、だいぶ重いな)
北野がふだん乗艦しているのは輸送艦《あさかぜ》である。
もちろん輸送艦と戦艦では、重量やパワーが全く違う。
(数年前に一度、操舵しただけのヤマトの感触なんて、よく憶えていたな)
古代はその北野をみやって1人思った。
その背に、つい重なってくる面影がある。
(――島……)
その親友が逝ってまだ2年は経っていない。普段は押しやっているものだったが、このシチュエーションでそれを思い出すな、という方が無理である。
北野の上に、その面倒をみていた親友の姿がかぶり、その安定した運行もまた、島の置き土産――もちろん北野の努力もあったが――ともいえた。
艦橋の様子はまったくといってよいほど違う。洗練されたフォルム、広い稼動範囲と、コンパクトな機械設計。それでありながらも様々な機能を搭載している。それは惑星探査や長距離航行、場合によっては単独で外惑星へ旅できる機能を持ったヤマトに準じて作られたものだ。
飛びながら改造を重ね、戻るたびに改造されていったヤマトと異なり、真田自身がイスカンダル科学のある程度の研究の成果を塔載した特別艦でもあった。
「真田さん――そっちはどうですか」
右手を見て技術班長として乗り込んでいる科学技術省副長官・真田に問いかける古代。
「あぁ――データはばっちり取っているから安心しろ。……砲塔の照準設定までの秒数もかなりスムーズだな」
南部がその言葉に頷いた。
「オートでもけっこうイケますよ。細かい微調整がきくかどうかとヒトの手に馴染むかどうかは、宇宙そとに出てからですね」と。
「外抵抗値はどうです?」太田が訊ねた。
「うん。まずまずだな……水中だろうが大気圏だろうが――宇宙や、相当濃い宇宙プラズマの中でも大丈夫なように設計されているはずだ」
真田の声は明るい。建造の最終責任者として緊張もあるのだろうが、また自信もある。
アクエリアスの艦橋で大きくヤマトと異なるのは主航海士席の位置と、艦長席の後部上方にコ・モニタ席が着いている処。これは、通信&オペレーションの補助席でもあり、場合によりここからオートで操艦すら可能である。
戦闘時のデータ処理に大きな能力を発揮する。だがそれぞれの指揮席の
位置はヤマトのそれに近い。必然、顔ぶれの相対的な位置も似た。
新設のコ・オペ席――此処には戦闘機隊長の加藤四郎が座っていた。
その配置が知らされた時、北野や土門は驚いたが。南部や相原はしゃら
りと、
「加藤はイカルスで真田さんの下にいたからな。下手な工作班や通信班より使えるぜ」と言った。
「まぁ自分で立ち上げたプロジェクトの結果だ、見届けたいだろうしな」
と艦長・古代が言うのに、
「配属されなかったんですからね、そのくらいは当たり前です」と、少しむっとした表情で四郎が言ったのは先輩たちの笑いを誘う。
「格納庫はいいのか」と南部が言うのに、
「佐々と宮本さんに任せてありますよ。オレが行く頃には仕事終わってますって」その2人の処理能力も一級である。
「坂本先輩さんもいるし」これは付け加え感無きにしもあらず。
「新人連中、ビビらなきゃいいけどな」と南部が言い、
「それもまた修行です」と加藤が返した。